子どもマネー総合研究会

どうなる?平成23年度の税制改正

個人向けの税制改正は、増税メニューがズラリです。「給与所得控除に上限を設ける」、「成年扶養控除に所得制限を導入する」、「相続税制を見直す」です。

給与所得控除に上限を設ける

会社員などの税金を計算する際、一定額を必要経費とみなして収入から差し引かれます。これが「給与所得控除」ですが、現状では、収入が増えれば増えるほど控除額も増える仕組みでした。今回の税制改正大綱では、年収1500万円を超えると一律245万円に抑えられることになりました。また、年収2000万円を超える企業の役員の控除額はさらに圧縮され、年収4000万円を超えると一般社員の半分になります。

成年扶養控除に所得制限を導入する

成年扶養控除は、23~69歳の扶養親族のいる世帯の税負担を軽くする税制です。この控除が受けられるのは、年収568万円以下の世帯に限られることになりました。学生、65~69歳の高齢者、長期入院者、障害者などはこれまでと同じ控除が適用されますが、フリーターやニートなどを扶養している親が影響を受けることになりそうです。

この話題について、テレビ局のインタビューに答えた女性のコメントが印象的でしたので紹介しておきます。「働こうと思えば働けるのに働いていない人の扶養控除ですよね。働いてもらえばいいことじゃないですか?」。ごもっともです。ただ、働きたいのに働く場所がなくて扶養になっている人もいることを考えると、「うーーん」ですね。

相続税制を見直す

相続税は半世紀ぶりの増税だそうです。現在は、基礎控除で定額部分の5000万円と、法定相続人1人あたり1000万円を加えた金額を控除できます。しかし、4月からは、控除できる金額は、定額部分が3000万円、1人あたりの部分が600万円に下がります。これによって、相続税を納める必要のある人が増えることになります。また、死亡保険金に対する相続税の非課税枠も縮小されます。現在の非課税枠は、法定相続人1人あたり500万円ですが、改正後は、法定相続人1人あたりの金額は変わりませんが、同居していない成年の法定相続人は非課税の対象外となります。

今回の改正で、自分たちも親もお金持ちの自覚はなくても、親が亡くなったときに相続税がかかる人がけっこう現れそうです。代表的な例は、親は不動産価格が高い地域に住んでいて子どもと同居していなかった場合。小規模宅地評価減の特例の適用が受けられず、結果として課税額が大きくなって相続税がかかってきます。この機会に、新税制になったら、相続税はどれくらいになりそうか試算してみては?

一方、増税ばかりではありません。減税になるものもあります。贈与税と証券優遇税制です。贈与税は、20歳以上の子や孫への贈与は、一般の贈与より税率を5~10%引き下げるという内容です。証券優遇税制は、株の配当や売却益にかかる税率は現在の10%のまま据え置かれます(延長期間は2年の予定)。

「なぁんだ。みんな、お金持ちに関係する税金改正じゃない。うちには関係ないわ」と思うなかれです。お金のある人から税金をたくさん取ることが、公平で平等なやり方なのか、考えてみることも必要なのでは?

お金のある人から税金をたくさん取ることは、格差是正につながるという人もいます。でも、格差是正を図るとき、下を持ち上げないで上を下げると社会全体が地盤沈下していくんだそうです。確かに、頑張って働いて稼いでも、税金をたくさん納めなくてはいけないなら頑張らないと思う人もいるでしょうし、もっと税金の安い国に行ってしまおうと考える人もいるかもしれません。

さぁ、みなさんはどう考えますか? お金持ちの身になって税制を考えてみることも必要のようです。

通常国会が始まると、税制改正の話題も巷をにぎわすようになります。そんな話題が出たら「耳ダンボ」になってくださいね。

ファイナンシャル・プランナー 小川千尋

小川 千尋(おがわ ちひろ)

ファイナンシャル・プランナー、子育て・教育資金アドバイザー、終活コンサルタント、エディター&ライター、整理収納アドバイザー2級、ハッピーエンディングプランナー
1994年AFP資格取得。独立系ファイナンシャル・プランナーとして、主にマネー誌、一般誌などのマネー記事の編集・執筆・監修・セミナー講師などで活動。オールアバウトのガイドも務めている。親の生命保険に詳しい。

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