子どもマネー総合研究会

教育費のかけ方を再考する時代!?

過日、教育資金を中心とした家計診断を某誌上で行いました。その結果、編集部が取り上げていたケースの中の一部が、希望されている進路が厳しいことをお伝えしなくてはいけない、という事態になってしまいました。

また、最近行ったファミリー世帯の家計診断でも、家計簿を拝見しただけで、未来に大きな問題が読み取れました。かなり厳しい状態であることをお伝えし、「2人目のお子さんがほしい」という夢を実現するには、かなりの家計の改善が必要とわかりました。今できる対策についてのご提案をさせていただきました。

長年、子育て世帯の家計診断を行ってきて感じるのですが、最近は全く問題がない家計よりも、潜在的に問題を抱えた世帯が増えてきているなと思います。

日本人の平均貯蓄額が下がり、貯蓄がない世帯も4~5世帯に1世帯あり、会社員の平均年収も下がる傾向にあります。その一方で、学歴の希少価値は下がり、不況もありますが、2011年3月の大学卒業生の5人に1人が定職に就けない状況です。そろそろ教育費のかけ方を再考すべき時期にきているのかもしれません。

教育費にお金を使うことを「教育投資」などといったりしますが、「投資」よりも「投機」、あるいは単なる「消費」、場合によっては「浪費」になってはいませんか?  もしも、「消費」や「浪費」、あるいは「投機」になっていても、それを自覚し、覚悟の上で行っていれば、問題は小さいでしょう。問題となるのは、無自覚で行っている場合です。教育費をたくさんかけることだけが、成功への道ではない時代だと思います。 最後の出口、つまり就職の段階になって後悔することのないように、あるいは親が定年に近付いたときに、老後資金不足を知ることにならないよう、一度しっかりと家計を見直した方がいいでしょう。

できるだけ実のある「投資」に近づける努力(つまり、しっかり学ぶこと!)はもちろん大事ですが、ときには教育費をかけすぎない判断も必要かもしれません。 「大学は教養を身につけるためにいくもの」という方は、教育費に考える方もいるかもしれませんが、それはわが家の家計に余裕があるときの話です。

教育費が上昇する一方で、教育費と地続きの親の老後の年金が薄くなっていく今の時代には、そんな余裕はなくなりつつあります。「子どもの教育費で無理をしすぎると、自分の老後にしわ寄せがいく」ことになりかねないのです。 今の親がその親からしてもらったようには、すでにできない時代になっているのです。

しかも、このことは親だけの問題にとどまりません。親の老後が厳しくなれば、子どもは黙ってはいられないでしょう。親に仕送りをするなど負担をかけることになります。

「奨学金を借りればいい」という考え方も、注意が必要です。返さなくていい奨学金ならまだしも、有利子・無利子を問わず、奨学金はあくまでも借金。借入額が大きければ大きいほど、子どもの家計を圧迫することにもなりかねません。

最近増えているのは、ダブル奨学金夫婦。夫婦ともに奨学金の返済があって、2人合わせると毎月5万円といった負担になる例もあります。共働き時代はまだいいのですが、子どもができたなどで片働きになると、かなりの負担になります。奨学金を選ぶ場合にも、「無理なく返せる」範囲にとどめることも大事です。

大きな奨学金を利用しなくて済むように、後半のための教育資金の準備は子どもが生まれたら始めることはもちろんのことですが、教育費そのものの節約を考えていくことも大事な時代と言えます。

(その方法については、次の豊田担当コラムへ

チェック!あなたの教育資金はどれですか?

□投資=リスクはあるものの、リターンも期待できる。

□投機=リスクは非常に高いが、うまくすれば高いリターンが得られる可能性も。

□消費=リターンは期待できないが、満足度は高い。

□浪費=リターンは期待できない上、満足度も低い。

ファイナンシャル・プランナー 豊田眞弓

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、子育て・教育資金アドバイザー
経済誌・経営誌などのライターを経て、1995年より独立系ファイナンシャル・プランナー。個人相談やセミナー講師の他、書籍・雑誌の執筆や監修などで活動。オールアバウト「子育て・教育資金」ガイドも務める。自身の子育ての中で感じたこと等から、子どもの金銭・金融教育をライフワークの1つとして取り組んでいる。人生3大支出の中での教育資金や、子どもの金銭・金融教育を得意としている。

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