子どもマネー総合研究会

ホームステイ先の通信環境は要チェック

娘がニュージーランドの高校に通学していた5年前のことです。留学手続きが全てすんで、あとは行くだけというところで、やっぱりパソコンを購入したほうがいいと留学エージェントに言われ、渡航前にノートパソコンを急遽購入することになりました。

留学費用のその他の準備品として、電子辞書などは購入していたのですが、パソコンは購入していなかったのです。1年間分の学費とホームステイ料金、通学交通費、現地サポート費用、サポート時の現地エージェントの交通費などを支払い、お小遣いや制服の代金を現地銀行の口座に入金した後でしたので、ノートパソコンの十数万円の急な出費は家計にとってとても痛いものでした。 でも、パソコンがあれば、インターネットを利用してさまざまなことが調べられます。しかも、メールやチャットができ、ニュージーランドと日本間でのやり取りが国際電話よりも安くできると留学エージェントに言われたので、無理を押して購入したものです(もっと早い時期に言っておいてほしかった!)。

今でこそ、国際電話をするなら無料で使える「スカイプ」などが当たり前になりましたし、iPhoneとかスマートフォンなどの登場で、海外との通信が安く早くできるようになりました。でも、5年前はポピュラーな話ではなく、海外にいる子どもとの国際電話料金をいかに抑えようかと頭を悩ませたものでした。

当時、国際電話料金はほんの数分で数千円、領収書を見ると、なんと月に4万円~6万円の請求が来ていたことがわかります。年間で考えると、ぞっとする費用でした。娘の留学先はニュージーランドでしたが、国際電話料金を少しでも安くするために、無理してパソコンを購入したり、留学生のための安い料金設定のある通信会社と契約していたのに、それだけ費用がかかっていました。 どうしてそれだけ通信費用がかかっていたかというと、国際電話だけの問題ではありません。ホームステイをしていた家庭に、インターネット回線が来ていなかったのです。ホストファミリーは60代、70代の高齢者のご夫婦でしたが、彼らはインターネットとは無縁な生活を送っていました。 そのため、新たに電話回線を1回線増やしてもらう契約をして、工事もしてもらい、ようやく娘のパソコンが利用できるようになりました。しかもダイヤルアップ式だったので時間もかかりますし、工事費、従量制の料金設定の回線使用料は、想定以上にかさみました。

日本では、各家庭にインターネット回線が来ている場合が多いのですが、海外の家庭ではインターネット回線をひいている家庭は思った以上に少なかったりします。なかでも都会から少し郊外に移動すると、若い学生のいる家庭でなければ必要性を感じない場合が多いようです。そのため、ホームステイ先が田舎であればある程、インターネット回線をひいている家庭はそう多くないのです。 我が家での通信費が高額だったのは、留学1年目で田舎の学校に通っていた頃のこと。娘は慣れないニュージーランドでの不平や不満を感じると、すぐに電話をしてきたものです。田舎の学校の方がのんびりしているという発想で選んだのですが、意外にも都会の学校よりもアジア圏の子どもに対する風当たりが強かったのでした。その結果が、毎月4~5万円の通信費となったのです。 留学2年目は、娘の選択したい科目の関係で、都会のオークランドの学校に転入しました。そこでは、プリペイド式の携帯電話を購入して、1か月にプリペイドカードの料金分だけ使うというやり方にしました。主に現地の生徒同士、ホストファミリーとの連絡、そして日本への電話という使い方です。また、ホストファミリーも赤ちゃんのいる共働きの若いご夫婦で、家にはLANの環境設定が整っていました。そのため、使用した費用の支払いを明確にするということもあり、新回線を別にひいてもらいましたが、特別な工事費もかからず、通信費は2~3万円程度に抑えることができるようになってホッとしたものです。

ここ数年の通信事情は格段に向上して、インターネット回線を利用して無料で通話できるスカイプなどはかなりポピュラーになってきました。ノートパソコンがなくても、iPhoneやスマートフォンなどの登場によって、世界がすぐそこにあるようです。 それでも、留学先のインターネット環境、各社のアプリケーションとそれに伴う料金で、通信費は変わってきます。購入時の一時的な費用だけでなく、留学で長期間かかるその他の費用として、通信費用も事前にチェックしておくことが大切です。 5年前、我が家では意外な高額出費で痛い経験をしました。留学前には通信費のことをもっと軽く考えていたのです。そのことを踏まえて、学校やホームステイ先を選ぶ段階で、通信環境はチェック項目として付け加えておくべきだと思うのです。

今年もいろいろな出来事がありましたね。留学を予定されているご家庭も、国内での進学をお考えのご家庭も、皆さまにとって来年がより良い年になりますことを、お祈りしています。

緒方昌子

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