子どもマネー総合研究会

医療費控除・セルフメディケーション税制で、税金を節約

医療費控除・セルフメディケーション税制で、税金を節約

今年も残りわずかになってきました。年が明けるとまもなく、確定申告(2月16日~3月15日)の季節になります。会社で年末調整を行って1年間の所得税・住民税を精算する会社員の方にはあまり馴染みがないかもしれない「確定申告」。しかし、会社員の方でも、一部の「所得控除」は、確定申告をしないと利用できません。「所得控除」は、所得の計算をするときに、所得から差し引くことができると定められているもので、14種類があります。税金額の計算は、各種所得の金額の合計額から各種所得控除の額の合計額を差し引き、その残額を基礎として税率を掛けて行うので、所得控除額が大きいほど所得税額は小さくなり、「税金を節約」することができます。

「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」

そこで、今回ご紹介するのは「所得控除」のうちの「医療費控除」「セルフメディケーション税制(医療費の特別控除)」です。おもに病院や薬局での支払いがかさんだ場合に、一定の条件のもとに適用することができる所得控除で、申告者本人と家族にかかった、病院や薬局に支払った費用が対象になります。出産したり、大きな病気をしたり、花粉症などのアレルギーで頻繁に病院にかかったり、薬を購入したり・・・と、「医療費が今年はかさんだなあ」という実感のある方は、「医療費控除」や「セルフメディケーション税制」の適用が受けられないか、検討してみてください。

現在、一定額以上医療費を払った場合に利用できる所得控除には、従来からある「医療費控除」と、昨年から期間限定(2021年12月31日まで)の「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の2つがあり、どちらかを選択して適用を受けられます(両方の控除を受けることはできません)。おおまかにいうと、従来の「医療費控除」は治療費も医薬品も対象にしており対象範囲が広い半面、金額的な条件は「セルフメディケーション税制」よりもハードルが高く、「セルフメディケーション税制」の対象は特定の一般用医薬品(処方箋なしで購入できる医薬品)のみと範囲が狭い半面、金額的な条件のハードルは従来の「医療費控除」よりも低くなっています。それぞれについて確認してみましょう。

医療費控除

申告者や生計を一とする配偶者、その他の親族のために支払った医療費がある場合、次の算式によって計算した金額を「医療費控除」として、所得金額から差し引くことができます。

医療費控除額(最高200万円)
=その年中に支払った医療費 
- 保険金などで補填される金額 
-10万円または所得金額の5%(どちらか少ない額)

医療費控除を受けるためには、医療費控除に関する事項を記載した確定申告書を提出する必要があり、その際には、医療費控除の明細書または医療保険者等が発行した医療費通知を添付する必要があります。ただし、2019年分までの確定申告では、医療費控除の明細書または医療費通知の代わりに、医療費の領収書の添付または提示でもよいとされています。

医療費控除の対象となるのは、医師や歯科医師による診療や治療に対する支払い、助産師などの分娩の介助への支払い、治療や療養に必要な医薬品の購入費用などです。一方、予防接種の費用や容貌を美化するための整形手術の費用などは対象となりません。

子育て家庭で医療費のかかる出来事として、「出産」がありますが、妊娠と診断されてからの定期検査などの費用(自己負担分)、また、通院費用は医療費控除の対象となります。出産で入院する際に公共交通機関での移動が困難なためにタクシーを利用した場合には、タクシー代は医療費控除の対象になります。ただし、実家で出産するための帰省の交通費は医療費控除の対象にはなりません。

また、最近は歯列矯正を行うお子さんも多いように思いますが、容貌を美化するための費用の場合には医療費控除の対象になりません。ただし、発育段階にある子どもの成長を阻害しないために行う不正咬合歯列矯正のように、年齢や矯正の目的などからみて矯正が必要と認められる場合の費用は医療費控除の対象になります。

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)

治療に関する医療費全般を対象とする「医療費控除」に対して、条件を満たす人が、申告者や生計を一とする配偶者、その他の親族のために特定の一般医薬品を購入した場合が控除の対象となるのがセルフメディケーション税制です。

セルフメディケーション税制に係る医療費控除額(最高88,000円)
=その年中に支払った特定一般用医薬品等購入費
-保険金などで補填される金額
-12,000円

ただし、セルフメディケーション税制による控除を受けるには、「一定の取り組み※」を行っていることが必要で、控除の対象となるのは特定の一般医薬品に限られます。セルフメディケーション税制の対象となる医薬品については、厚生労働省のホームページに掲載されています。また、対象となる医薬品を購入した際の領収書には、セルフメディケーション税制の対象であることが表示されています。

※一定の取り組み・・・人間ドックやインフルエンザの予防接種など、法令に基づき行われる健康の保持増進及び疾病の予防への取り組み

・セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について(厚生労働省ホームページ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html

・健康の保持増進及び疾病の予防への取組を行っている場合(国税庁ホームページ)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1133.htm

このように、医療費に関する所得控除は現在2種類があります。確定申告の時期が近づいたら1年を振り返ってみて、「今年は通院が多かったな」「薬局で薬を買うことが多かったな」と感じたならば、2つの医療費控除制度のどちらかの条件に当てはまる医療費支出がどれくらいあるのか確認し、医療費控除を検討してみてはいかがでしょうか。

ファイナンシャル・プランナー 大林香世

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャルプランナー 、子育て・教育資金アドバイザー
1999年CFP資格取得。教育系出版社、FP会社勤務を経て、2000年より独立系ファイナンシャル・プランナーとして活動中。マネー系ホームページ、新聞等へのコラム執筆、FP向けテキスト・問題集の執筆・校閲、セミナー講師、個人相談などの活動を行っている。子育て中でもあり、自分や周囲の経験を参考にしつつ、金銭教育や教育費に関するセミナーを行っている。

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