子どもマネー総合研究会

「18歳で成人」する前に。確認しておきたい「契約」の知識

「18歳で成人」する前に。確認しておきたい「契約」の知識

2024年4月、成年年齢が「18歳」に引き下げられる

選挙のたびに、「18歳からの選挙権」が注目されていますね。現在、選挙権は18歳からになっていますが、成年年齢は20歳。しかし、いよいよ2024年4月からは、成年年齢も18歳に引き下げられます(表1)。成年年齢の引き下げにより「18歳になったらできること」が表2のように増えます。なお、結婚できる最低の年齢はこれまで男性は18歳、女性は16歳でしたが、成年年齢引き下げと共に男女とも18歳以上になります。

<表1:生年月日によって異なる、新成人となる日>

生年月日 新成人となる日 成年年齢
2002年4月1日生まれ 20歳の誕生日 20歳
2002年4月2日~2003年4月1日生まれ 2022年4月1日 19歳
2004年4月2日以降生まれ 18歳の誕生日 18歳

政府広報オンライン 2018年8月25日付より

<表2:成年年齢の引き下げで変わるもの、変わらないもの>

18歳(成年)になったらできること 20歳にならないとできないこと(これまでと変わらないこと)
・親の同意がなくても契約できる
・携帯電話の契約
・ローンを組む
・クレジットカードをつくる
・一人暮らしの部屋を借りる
・10年有効のパスポートを取得する
・公認会計士や司法書士、医師免許、薬剤師免許などの国家資格を取る
・結婚
女性の結婚可能年齢が16歳から18歳に引き上げられ、男女ともに18歳に
・飲酒をする
・喫煙をする
・競馬、競輪、オートレース、競艇の投票権(馬券など)を買う
・養子を迎える
・大型・中型自動車運転免許の取得

政府広報オンライン 2018年8月25日付より

高校生でも、親の同意がなく「契約」できるようになる

成年年齢引き下げによって変わることの中で、影響が大きいと考えられるのが18歳になると「親の同意がなくても契約できる」ようになることです。

未成年者が契約するときには、「保護者などの同意を得なければならない」とされており、保護者などの同意を得ずに契約した場合には取り消すことができます(未成年者取消権)。しかし、成年になると、契約に保護者の同意が必要なくなる一方、未成年者取消権がなくなります。

現在の成年年齢である「20歳」であれば、高校卒業後、大体2年を経た時期ですから、就職して社会人になっている人はもちろん、学生でもアルバイト等で多少なりとも社会経験を積んでいる場合も多いでしょう。しかし、「18歳」は学年で言えば、高校3年生。誕生日が4月や5月なら、高校3年生に進級して早々に、親の同意がなくても自分の責任で、ローンを組んだり、クレジットカードを作ったり、部屋を借りたりできることになります(もちろん、ローンやクレジットカードの年齢要件を満たしていても、審査を通るとは限りませんし、年齢が18歳でも収入のない高校生が部屋を借りることはできないかもしれませんが)。いったん契約を結ぶと、契約を結んだ高校3年生が18歳の「成年」に達していれば、後から契約を取り消したいと思っても、「未成年者取消権」による取り消しはできません。

そもそも、後から取り消さなければならないような「契約」をしなければよいわけですが、社会経験が少ないほど、契約内容を検討したり、契約してよいのか判断したりするのは難しいでしょう。18歳になる前に、自分で責任を持って「契約」できるよう、早めに契約に関する知識をお子さまに伝えていきたいものですね。

消費者契約法による、契約の「取り消し」「無効」

なお、そもそも「不当」な契約は、取り消すことができます。消費者の利益を守るため2000年にできた消費者契約法により、「不当な勧誘により結ばされた契約は後から取り消す(表3)」ことができ、「消費者の利益を不当に害する契約条項はその部分が無効(表4」とされるのです。消費者契約法は2016年、2018年に改正され「取り消し」「無効」とされる範囲が拡大し、2019年6月15日以降は、社会生活上の経験が乏しい消費者に対して行った「悪質な就活セミナー」や「デート商法」なども取り消しの対象となっています。

<表3:消費者契約法により、後から取り消すことができるものの例>

項目 内容
不実告知 重要事項について、事実と異なることを告げた
不利益事実の不告知 消費者の利益となる旨を告げながら、重要事項について不利益となる事実を故意に告げなかった
不利益となる事実を重大な過失によって告げなかった
断定的判断の提供 将来における変動が不確実な事項について確実であると告げた
過量契約 消費者にとって通常の分量を著しく超えることを知りながら、消費者契約の勧誘をした
不退去 消費者が事業者に対し、退去すべき旨の意思を湿したにもかかわらず、事業者が退去しなかった
退去妨害 消費者が退去する旨の意思を示したのにもかかわらず、消費者を退去させなかった

<表4 消費者の利益を不当に害するため無効となる契約条項の例>
・事業者は責任を負わないとする条項
・消費者はどんな理由でもキャンセルできないとする条項
・成年後見制度を利用すると契約が解除されてしまう条項

大人であっても、「契約」をするかどうか、内容に問題がないかを判断するかは難しいものです。お子様といっしょに、「契約」に関する知識を確認しておきましょう。また、契約について「おかしい」と思った場合には、一人で悩まず、焦らず、各地の消費者センター等に相談することも伝えておきたいですね。

電話番号「188」を押せば「消費者ホットライン」につながり、近くの地方自治体の相談窓口を案内してもらえます。

参考:消費者庁 消費者契約法
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_contract_act/
消費者庁「不当な契約は無効です!早わかり!消費者契約法」

ファイナンシャル・プランナー 大林香世

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャルプランナー 、子育て・教育資金アドバイザー
1999年CFP資格取得。教育系出版社、FP会社勤務を経て、2000年より独立系ファイナンシャル・プランナーとして活動中。マネー系ホームページ、新聞等へのコラム執筆、FP向けテキスト・問題集の執筆・校閲、セミナー講師、個人相談などの活動を行っている。子育て中でもあり、自分や周囲の経験を参考にしつつ、金銭教育や教育費に関するセミナーを行っている。

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