子どもマネー総合研究会

「子ども名義の口座」で、お金のトレーニングを

「子ども名義の口座」で、お金のトレーニングを

卒業や入園入学など、春は新たな旅立ちの季節。お年玉と並び、子どもがお金持ちになる?季節ではないでしょうか。

子ども宛てに受け取ったお金の管理、どうしていますか?貯金箱では管理できない金額のお金の管理に、「子ども名義の口座」開設を考えてみませんか。

子ども口座で、お金のトレーニング

ほとんどの「大人」は銀行等の口座を利用して生活しています。給与振込、公共料金や学校納付金の引き落とし、住宅ローンの返済金や家賃の支払い、クレジットカードの引き落としなど、生活に口座は欠かせません。

子どもたちも、いつかは自分の「口座」でお金の管理をしなければならなくなります。社会人になればもちろん、学生のうちでも、アルバイトの給料の振込先、自宅を離れて進学した場合の仕送り先など、銀行等で口座を開いて利用する機会はありそうです。窓口での手続きや、ATMの利用も、はじめては戸惑うものです。子どものうちから自分の口座を持って活用していれば、保護者がアドバイスすることもできるし、口座を使いこなす自信もつくでしょう。

銀行等の口座を利用した「お金のトレーニング」のために、「子ども口座」を開設してみてはいかがでしょうか。

子ども口座は、成人したら本人が管理する

未成年の子どもの口座は父母などの法定代理人が管理し、自由に入出金することができます。子どもが小さいうちは、お年玉などを「預かっておくね」と保護者が子ども口座に入金し、保護者が管理し、子どもの成長に合わせて、お年玉を入金したり、「ほしいもの」を買うために引き出したり、親子で「口座活用」のトレーニングを積んでいくことができますね。

子どもが大人になったら(満18歳で成人したら)、口座管理は子ども自身で行います。

たとえば、お年玉などを貯めておいた子ども口座を、大学・専門学校進学時から子ども自身で管理するようになったら、仕送りだけでは生活が苦しいときの補填にしたり、資格取得講座の費用に充てたり、飲食や遊びに使い過ぎて後悔したり?社会人になる前に「まとまったお金」の使い方といった「お金のトレーニング」が継続できますね。

なお、子ども口座を、その子の教育資金を管理するために使う、という場合は注意が必要です。成人後は口座の管理は子ども自身で行うので、親が学費の支払いをする際にも、子ども自身に頼んで引き出してもらうことになります。子ども自身が別目的で先に引き出して、学費などが足りなくなる場合もあるかもしれません。

進学資金のような、保護者が使い道を決めるお金を管理するなら、保護者自身の口座を使ったほうが使い勝手がよいでしょう。

子ども口座の注意点

成人後の口座管理は子ども本人が行う、ということのほかにも、子ども口座利用には注意したい点があります。

・子ども口座は眠らせない

最後の取引から10年以上取引がないと口座は、「休眠預金」となり、民間公益活動などに活用されていることになっています。休眠預金となっても、銀行等に申し出て、本人確認などの手続きを行えば預金の引き出しは可能ですが、通常の取引よりも手間がかかることになります。

乳幼児のころに子ども名義の口座を作り、当初はお祝い金などを入金し、その後はただ「保管」していたら、子どもが成人するころには休眠預金になってしまいますね。

「口座を眠らせない」ためにも、お年玉やお小遣いをまめに入金するなど、お金のトレーニングを怠らないようにしましょう。

・贈与税に注意

子ども名義の口座のお金が、贈与税の課税対象となる場合があるので注意しましょう。年間(1月1日~12月31日まで)110万円を超える金額を贈与した場合には、「贈与税」の課税対象となります。

通常は、保護者や祖父母などが子どもに日常生活に必要な範囲(教育資金、お小遣い、仕送りなど)のお金を渡したのであれば、贈与税の対象にはなりません。しかし、生活費を超えるような金額を子ども名義の口座に入金し、生活費として使われることがなければ贈与とみなされる場合があります。

子ども口座の選び方

子ども口座は、使い方に合わせて選びましょう。

小さいうちから、窓口や銀行等のATMを利用するなら、日常的に行ける範囲の銀行等になりますね。パソコンやスマホの画面を見ながら、入出金や振込などを保護者といっしょに行うなら、ネットバンクも候補になります。成人後、子どもがどこで暮らしても使い続けられるように…と思うなら、郵便局やネットバンクがよいかもしれません。いずれにせよ、保護者が利用方法をアドバイスできるように、保護者が慣れた銀行等を選んだほうがよいでしょう。

また、銀行等によっては、「子ども口座開設」で、「親子間の振込手数料無料」「子ども向けデザイン通帳」「口座開設でプレゼント」等の優遇やサービスが準備されている場合もあります。その銀行等で口座開設すると決めたら、利用できる優遇・サービスがないか、どんな条件があるかもチェックしましょう。たとえば、ソニー銀行の場合、「家族から紹介」「紹介を受けた人の口座開設+総預かり残高30万円」で、最大7,500円の現金プレゼントが受けられます。

子ども口座開設の必要書類

最後に、子ども口座を開くときに必要な書類を確認しましょう。

子ども口座を開くには、子ども本人の本人確認書類と、親権者(父母等)の本人確認書類、子どもと親権者の関係を証明する書類、届出印などが必要です。子どもの年齢によって、手続き方法や必要種類が異なる場合があります。口座を開きたい銀行等のホームページなどで、あらかじめ必要書類を確認してください。

申込書類に記入し、本人確認書類などを窓口で確認(郵送の場合はコピーなどを提出)すれば、子ども口座が開設できます。

店頭で申し込んだ場合は、当日通帳を受け取り、後日キャッシュカードが送られてきます。

子どもが社会に出たときに、銀行等との付き合いかたや、口座の管理、ATMの使い方などにも戸惑わず、使いこなせるように、子ども口座でのお金のトレーニングをしてはいかがでしょうか。

<子ども口座>

三菱UFJ銀行
三井住友銀行
りそな銀行
ソニー銀行
住信SBIネット銀行
福岡銀行
静岡銀行

ファイナンシャル・プランナー 大林香世

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャルプランナー 、子育て・教育資金アドバイザー
1999年CFP資格取得。教育系出版社、FP会社勤務を経て、2000年より独立系ファイナンシャル・プランナーとして活動中。マネー系ホームページ、新聞等へのコラム執筆、FP向けテキスト・問題集の執筆・校閲、セミナー講師、個人相談などの活動を行っている。

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