親子で留学について考えてみよう
最近、行き当たりばったりで高校留学に踏み切った我が家とは、まったく違って、海外での中学・高校卒業と大学進学をしっかり見据えて海外に送り出すご家庭の話を耳にしました。それも、二人のお子さんを海外へ送り出しているそうです。
そのご家庭が裕福なのは間違いありませんが、子どもが生まれてからすぐに、その進路を見定めて将来に向けて十分な学資を貯蓄してきたようです。子どもの教育をはじめから海外で受けさせたいと思い描き、親の理想を追いかけています。 もちろん、子どもの教育資金を早い段階から準備することは大切なことです。いざ必要になった時に、資金不足で進学をあきらめなければならないということになるからです。ただ、そこでふと考えてしまったのは、子どもの気持ちです。
親の思惑と子どもの思いが合致していれば、子どもにとってはこの上もなくハッピーです。でも、もしもそうでなかったとしたら、子どもにとって留学はどんな意味があるのでしょうか。親は子どもの将来のために、豊かな人格形成と将来へのレールを敷いてやるのだと一方的に良かれと思っていても、子どもは早くから親元から離され、寂しい思いで感情を抑え込んでしまうことも考えられます。親子でも、留学することに対する考え方のベクトルが同方向とは限らないのです。
そこで、生まれた時から教育資金の準備を進める一方で、中学・高校から留学を想定しているとしたら、子どもが小学校の高学年になる頃までに、さまざまな留学形態を親子で調べて、留学の楽しさや喜びについて常に話し合ってみる必要があると思います。親の思いをきちんと伝えて、子どもの思いもしっかり受け止めてあげることです。
親子で同じ方向を向いて留学に臨めば、前回のコラムでもお話しましたが、実績のある留学アドバイザーの方が、多感な時期の留学は、たとえ短期間でも親元を離れて、文化の異なる海外で過ごすことで、いろいろなことを吸収して大きく成長してくるとおっしゃっていた通りだと思うのです。我が家のケースでは、本人が留学希望だったのですが、一人っ子でイマイチ頼りなかった娘が、口うるさい私から離れてニュージーランドで高校を卒業してから、自立心が強くなったように思います。ドイツ、スイス、中国、韓国、タイからの留学生もいたので、文化や国民性の違いを体感し、日本のことに詳しくなりました。いい意味で、国籍に関係なく人間性で相手のことを見るようになりました。
もし留学を考えているのでしたら、早め早めの教育資金準備と、親子で話し合う機会をたくさん設け、足並みをそろえておきましょう。お互いの思いを理解しておけば、留学中、さまざまな問題に直面した時にも親子で団結して乗り越えていけますよ。
緒方 昌子