少子化と社会不安、タマゴが先か?ニワトリが先か?
統計によると、日本の人口は2004年をピークに下降していくのに対し、65歳以上の人口の割合は他国でも類を見ない速さで増加しています。人口構成は1965年には高齢者(65歳以上)1人を若年層(20歳~64歳)9.1人で支えていたのに対し、2010年現在で1人を2.6人で支えるというバランスになり、2050年には1人を1.2人で支える(!!)ことになる予測だそうです。これは支えるなんていうレベルの話ではないかもしれませんね。公的年金は100年安心といわれてもやはり心配になります。
さらに、不況が続いていることも少子化に少なからず影響を与えています。11月29日の日経新聞のエコノフォーカス欄で「将来不安が少子化拍車」という見出しがありました。記事によると09年半ば以降結婚数が大幅に減少していて、雇用・所得環境の低迷とタイミングがほぼ重なっている、とのことです。出生率が低下する原因のほとんどは結婚活動の低迷で説明ができるのだそうです。
私たちを取り巻く社会の構造や環境が変化していることは間違いない事実です。けれども不安だからといってみんなが結婚をためらったり、子どもの数が減っていったりすることでさらに状況が悪化していきます。
社会が不安だから産まない。
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少子化により将来の社会保障の支え手が減り財源が不足する。
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さらに消費力や労働力が低下することで経済が伸び悩む。
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社会がますます不安定に
現在子ども手当てをはじめ、行政の取り組みや企業の子育て支援策なども増えてはいますが、そのことが安心感につながっているか、私の実感としてはちょっと疑問です。では、安心して子どもを産み育てられる世の中にするには、何が必要なのでしょうか。
経済的な豊かさ?
治安の良い地域社会?
ワークライフバランス?
もちろん正解はないのでしょうけれども、プランニングをしてみると多くの方が「漠然としていた将来への不安をきちんと予測すること」「国や企業の制度に頼るだけでなく、自分では何が出来るのかを考えること」でずいぶん安心感を得られるようです。予測するだけ、考えるだけでは何も変わらないので行動することも大事ですが、学校で教えてくれないマネーの知識がこれだけ安心をもたらすのであれば、もしかするとファイナンシャル・プランニングが少子化の行く末を変えるのではないか、と思ったりします。
もちろん結婚しない選択や子どもを産まない選択、ひとりっこの選択をすることは自由です。ただ、本当は産みたいのに経済的に不安だからという理由でそれをあきらめるのであれば、それは本当に悲しいことだし、そんな世の中にしてはならないと思うのです。
時代や環境に左右されずみんながそれぞれの「自分らしいライフスタイル」を見いだせるお手伝いが出来るよう、今後は具体的な例もお伝えしていきたいと思います。
波柴 純子