子どもマネー総合研究会

今こそ「留学」

現在、不況や震災後のさまざまなダメージを受けているのは日本だけでなく、世界的にも金融危機や政情不安定などから脱せずにいる国が多くあります。なかでもヨーロッパ、アメリカの経済の低迷が続いているため、いまだに、米ドルやユーロ、英ポンドの為替レートが安くなっています。そのため日本の輸出産業は大打撃を受け、復興を見据えた日本も、この世界的な金融危機の不安がぬぐえません。 しかし、そのおかげで留学の面ではある意味チャンスが到来していると言えそうです。予算面で留学を諦めていたご家庭では、お子さんを海外へと送り出すいいタイミングかもしれません。

なぜかといえば、米ドル、ユーロ、英ポンドの為替レートが安くなり、円高の状態が続いていることが挙げられます。ちなみに8月1日午後16時現在、米ドルは1ドル77.6円、ユーロは1ユーロ111.81円、英ポンドは1ポンド127.43円(参考出典:YAHOO!JAPANファイナンス)となっています。 なかでも、これまで留学費用が年間500万円以上(1ドル100円換算として)といわれ、高額ゆえに資金面でのハードルが高かったアメリカの名門私立高校留学が、1ドル80円を切ったことで、手が届く可能性が出てきました。我が家の娘がニュージーランドでの高校留学を経験した数年前には、高額でとても視野に入れられなかったので、現在高校留学を考えているご家庭にはチャンスといえそうです。 そのほか、イギリスの全寮制私立高校、高嶺の花と言われていたスイスのインターナショナルスクールも、ポンドやユーロが下がったおかげで、検討の余地が出てきました。

ただし、為替レートに変動はつきもの。リーマンショック以来、米ドルは下降していますが、いつ急騰するかわかりません。卒業留学を考えている場合は、1年間の留学費用は大丈夫だったのに、次年度は払えない……なんてことのないように、レートが高くなった時のことも考慮した、余裕を持った資金計画が必要です。とはいえ、3年間の費用を完璧にしようと思うあまり、重荷になったり、なかなかきっかけがつかめず、ずっと先送りになったりするのも、子どものやる気をそぐことになるかもしれません。

親の心情としては、3年間みっちり留学させて、大学進学までなんとかしたいと思うかもしれませんが、もしも資金繰りに余裕がない場合、割り切ったものの考え方もあります。 どうしても、次年度の費用が捻出できなかったとしたら、1年間で帰国させるという考え方も「あり」だと思うのです。 そのほか、1年間留学させ、次年度もなんとかなったとしても、3年目は厳しいとなったら、子どもの力量次第ですが、飛び級するという手立てもあります。

最近、留学アドバイザーを育成する方とお会いする機会がありました。海外へたくさんの留学生を送り出してきた実績のある方です。その方は、1年間といわず、短期留学でもいいから、親子で話し合って、海外へ出ることが大切だと言っていました。 お話しの中に出てきた、高校生の多感な時期に、短期間でも親元を離れて文化の異なる海外で過ごすことで、子どもはいろいろなことを吸収してくるということが興味深かったです。海外に出ることで、日本のことを聞かれ、日本を見つめ直して伝統や文化をあらためて知ることになります。それだけでも、留学する意義があるというのです。そして、その期間に何かを得た子どもは、自力で資金を貯めてでも、また海外へと目を向けるようになるでしょうとおっしゃったことが印象的でした。

もちろん、3年間の卒業留学の資金繰り計画は大切なことです。でも、親の資金力だけに頼らず、短期間でも子どもの成長を期待する、割り切ったものの考え方もあるのです。 とにもかくにも留学費用は、為替レートの変動がダイレクトに響いてきます。為替レートの円高状況が続いている今だからこそ、アメリカ、イギリス、スイスなどの留学も視野に入れられるわけですし、留学への一歩を踏み出して夢をかなえるチャンスなのです。

緒方昌子

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