お金をどう使いたいですか?
みなさんはお金をどう使いたいですか?どう使うか、どう貯めるかは、人それぞれの価値観で違います。普段、そういうことを意識しながらお金を使う事はないという方が大半だと思いますが、価値観つまり人それぞれの考え方や習慣が反映されているのではないでしょうか。そしてその価値観に対して、正しい・正しくないという概念はありませんが、その価値観に相応する結果が待っているものだと思います。
例えば、生活費が足りない時に、節約したり収入を上げるための方法を考える人と、お金を借りる人とでは、その後の収支や預貯金額に差がでてくることが想像できます。付け加えますが、とった行動に正しい・正しくないということを言っているのではありません。ただ、その行動で得られる結果が違ってくるという話です。
先日、お手伝いとして参加した研修では、上の例のような節約や収入を上げたり、借金をするという設定こそありませんが、日常生活でお金を使う場面で、どういう選択をするとどうなるかということがシミュレーションできる内容でした。
その会社にはご了承をいただいているので、少し研修の内容をご紹介させていただきます。
この研修は、企業で働く従業員の方向けということもあり、参加者の設定は「学生生活を終え入社した頃」というところから始まります。給料を何に使うか・どう貯蓄するか、その後結婚し子どもが産まれた際に教育資金の準備はどうするか、万一のリスク対策はどうするか、住む家を購入するかどうか…など、社会人となったら経験するであろう物事に対して、どういう選択をするかにより、将来の預貯金額と総資産額がどうなるかを、ゲームとして体験できる仕組みとなっていました。収入に関しては、参加者全員が同じ条件という設定なので選択することはできず、「定年退職を迎える」というところでゲームは終わります。つまり、入社から定年までという時間と、その間に得る収入は、参加者全員が同じという条件であるのに、ゲーム後に残る預貯金額と総資産額には、参加者それぞれに違いが生じることになります。
このゲームではその選択の違いを判りやすくするために、ゲーム後に残る預貯金額と総資産額で表していますが、その額の多い・少ないということ自体が、正しい・正しくないということではありません。なぜそれを選択したかという理由が、参加者それぞれにあるからです。
ゲームの中で、車を購入するかどうかを選択する場面がありました。車を購入すれば保険料やガソリン代、駐車場や税金などの維持費がかかるため、購入しない時と比べると、その分の預貯金や総資産額が減る原因になるということが解ります。だからと言って、車の購入をしない方がいいと言っている訳ではありません。車にお金とは別の価値を見出し、求めている人は当然ですが居ます。私もそのひとりです。車が大好きですし、実際わが家には車があります。
重要なのは、それを選択した場合、お金はどうなっていくのかを想定できるかどうかという点であると思います。そして想定できるようになるには、良質な情報を得たり学ぶことが必要となってきます。研修の締めくくりは預貯金額と総資産額の結果発表でした。ただしこのゲームは、その金額の大小で勝ち負けを競うものではありません。参加者がゲーム終了後に知りたがっていたことは、どういう選択が結果に影響を与えたかということ、そして実生活に役立てるためには、これからどういう知識や準備が必要であるのかという情報でした。
参加者はゲームの中ではありますが、それぞれの価値観で望む生活スタイルのために、選択をしてきた筈です。その価値観で選択した結果と想像していた理想とのギャップがあったとしたら、そのために必要な知識を得ることが大切となってきます。ゲームで疑似体験をすることで、必要な知識を得て実生活の中でどのような準備をすることが大切なのかを学ぶことができたようでした。
以前メルマガで、豊田研究員が「知らないと損をする」と書いておりましたが、情報の質と量で、考え方も価値観も変ってくるものだということを、私自身もたくさん経験してきました。FPの勉強をする前と今では、お金の使い方やお金に対する考え方が大きく変わりました。お金の使い方や考え方が変わると、日々の生活も変ります。日々の生活を長期的に見たものが人生であるならば、人生も変わるということになります。良質な情報を得ているかいないかで、今後の人生に大きな差が出てくるものだと痛感しております。
子どもマネー総合研究会では、子ども達にも早い段階からお金について学ぶ機会をということで、「おこづかい帳ゲーム」イベントをこれまでも開催してきました。イベント後に子ども達が書いてくれる感想には、「これからは、おこづかい帳をつけようと思う」「お金は大切だとわかった」など、お金とのつきあい方を考えるきっかけになっていることは大変嬉しいことですが、子どもが最も大きな影響を受けるのは、親や身近にいる大人なのだと思います。お金の使い方だけでなく、本当に子どもは親や身近な大人の言動を見ているものです。子どもを育てている親御さんはもちろん、大人のみなさんに良質な情報を得ていただきたいと思っております。
先月の5月には東京の新橋で、親御さん向けのセミナーを開催しました。知っていると役立つ情報が満載でした。
子どもマネー総合研究会として伝えていく情報が、みなさんのより良い生活のためにお役に立てれば幸いです。これからも宜しくお願いいたします。
大澤 亜紀子