教育資金の準備としての保険・・・気を付けるべき点とは?
保険見直しのご相談を受ける際には、まず現在ご加入の保険内容を確認させていただきます。お子さんのいるご家庭では教育資金用として加入されている保険をお持ちの場合が多く、学資保険と名のつく商品の場合もあれば、終身保険などで準備されている場合もあります。
ご家庭によって考え方や計画に違いがありますが、必要なタイミングに資金を利用することができるという点は共通の目的であると思います。その点についてあらためて相談者に確認すると、理解が違っていることも稀にあります。では、必要なタイミングとはどんなタイミングでしょうか。一般的に幼稚園から高校、大学や専門学校と、お子さんの進学するタイミングでまとまった資金が必要になってきますが、中でも大学や専門学校などはそれまでより多くの費用がかかることはご存知かと思います。
また、他県の大学や専門学校などへの進学が予想さる場合や、教育資金の他に住宅ローンなど、出費が多くなる時期と重なることが想像される場合もあります。必要なタイミングで受取れ、そして家計も考慮した貯め方であるとして、保険を活用する場合に気を付けたい点とはいったいどんな点でしょうか。これまでお受けした相談の経験をもとに、いくつかを下記にまとめてみました。
入学金の納入に間に合わない
学資保険の中には、各進学のタイミングや定期的に資金が受け取れるタイプのものがありますが、先にお伝えした事情を踏まえると、大学や専門学校への資金として準備できるよう意識して加入することが大切かと思います。では、それらの学校へ入学金などを納入する時期はいつ頃でしょうか。多くは、入学試験の合格発表がされてから2週間頃までに納入という期限を設けているようです。入学試験は1月~3月に集中しますが、推薦入試の場合は前年の秋頃には合格が決まることが多いと聞きます。
つまり、入学金などのまとまったお金を納入するためには、高校3年生の秋頃には手元に準備できる状態が望ましいということです。学資保険の中には18歳や17歳で満期や給付の時期を迎えるものがあり、お子さんの誕生日や契約時期の関係で、その時期に間に合わない加入の仕方にならないよう注意が必要です。
学資保険以外では終身保険に加入されているケースもあります。終身保険とは、死亡時や高度障害状態になった際の保障を終身で確保できる保険ですが、保険料の払い込み完了時期により、解約返戻金が支払った保険料を上回る設計が可能なものがあります。終身保険を利用する際に気を付けたい点は、解約返戻金が保険料を上回る時期です。資金が必要な時期なのに解約返戻金が保険料を上回らず、元本割れの状態では利用した意味がありません。
貯蓄は学資保険のみ
できる貯蓄は全て学資保険の保険料としてしまうケースがありますが、家計全般で見た場合ちょっと危険かなと思います。教育費は確かに大きな資金ですので、準備することは大切なことですが、全てを学資保険にしてしまうとどうなるでしょうか。学資保険は満期保険金や給付金を受け取れる時期が、それぞれの商品で決まっています。つまり、加入している間は自由にならない資金です。家計全般でみた場合、教育資金以外にも資金が必要になる時期が各家庭にはあるはずです。
そのために貯蓄もその目的や時期により、預け先や貯め方を分ける必要があります。急な出費に対応できる備えとして、いつでも自由に引き出すことのできる預金も準備することが大切です。
外貨建ての保険や変額保険
学資保険の代わりにドルなどの外貨建て保険や変額保険で準備されているケースがあります。どちらも資金が増える可能性はありますが、その分リスクもあります。資金を通貨、また株や債券などへ分散することは、長期的な視点で取り入れるのはお勧めできますが、教育資金準備は別です。教育費は、必要なタイミングで確実に受取れることが大切です。必要な時期がきて、元本割れしていても解約せざるを得ない状況は避けたいものです。
親の保険が無い
お子さんが生まれたら、まず学資保険を考える方は多いようです。しかし親である自分達の保険は後回しになってしまう家庭が見受けられます。生活費を稼いでいる親が万一の時、お子さんの生活や教育資金はどうなるでしょうか。遺された親や実家に経済力があれば話は別ですが、あるはずの収入が途絶えることで、お子さんの教育資金準備もままならない状況になるかもしれません。学資保険の前に、まずは親の収入が途絶えるリスクについて、準備することが大切です。
これらは今までの相談の中で実際にあったケースです。こういうケースに至るには、保険を扱う側の都合や知識不足が原因の一つにあるのかとも思います。
最後に、残念だなと思うことは、教育資金として何も準備をしていないということです。教育費は住宅費や老後資金と並んで、人生の3大資金と言われています。冒頭でもお伝えした通り、教育費が一番かかってくる時期に家計費で賄っていくのは大変です。そうならないためにも、早い時期から計画的に準備をすることが最も大切です。教育資金をどうやって、どんな方法でいくら準備したらいいかは、その家庭の考え方や家計によっても異なります。我が家はどうかなあ・・・と、気になる時は、いつでも子どもマネー総合研究会にご相談ください。
大澤 亜紀子