子どもマネー総合研究会

「マイナンバー」が始まります

マイナンバーとは、日本に住むすべての人に割り当てられる12ケタの数字(番号)です。2013年に成立したマイナンバー法で、2016年1月からの導入が決まりました。スタート当初は、社会保障・税・災害対策の3分野に利用が限定されています。しかし、9月3日に成立した改正案では、2018年から銀行口座とひもづけできるようになります。

内閣官房のホームページによると、「マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現する社会基盤」だそうです。期待される効果は3つあるとしています。1つ目は、「公平・公正な社会の実現」です。マイナンバーを使うと、個人の所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れたり給付を不当に受けることを防止でき、本当に困っている人に支援を行えるとのこと。

国は、個人の所得と金融資産を正確に把握し、高所得者や、所得はなくても金融資産をたくさん持っている人から応分の負担(税金・社会保険料・公的保険利用の一部負担金など)をしてもらうことで、社会保障制度の財源確保と給付抑制をしようとしています。既にお金持ち負担増は始まっていますが、まだ、所得と金融資産を正確に把握できていないため、マイナンバーでより精密に把握したいのでしょう。

2つ目の期待される効果は「行政の効率化」で、お役所の作業が効率化されること。3つ目は「国民の利便性の向上」で、行政手続きが簡素化されることです。マイナンバーで、我々国民が便利になりそうなのは、行政手続きの簡素化くらいなものですね。

では、マイナンバーはどんなシーンで必要になるのでしょう。当初の利用範囲は、社会保障と税・災害対策です。社会保障分野では、年金や雇用保険の資格取得や確認・給付、ハローワークの事務、医療保険の給付請求、福祉分野の給付、生活保護などが想定されています。児童手当の請求手続きも、この分野に入ります。

税分野では、会社員の年末調整、確定申告、その他税務署に提出する届出書など。税や社会保険の手続きの中には、会社・証券会社・保険会社などが個人に代わって手続きを行うものがあり、その場合はマイナンバーの提出を求められる場合があります。災害対策分野では、被災者生活再建支援金の支給、被災者台帳の作成事務などに利用されます。

マイナンバー導入のスケジュールは、まず、10月5日時点で住民票に記載されている住所に「通知カード」が送られてきます。通知カードは紙製のカードで、券面に氏名・住所・生年月日・性別の基本4情報と、マイナンバーが記載されています。この通知カードはすべての人に送られます。届いた後に、市区町村に申請すると、2016年1月以降に「個人番号カード」を無料で交付してもらえます。会社や学校で「通知カード」を集めてまとめて申請することもできる他、スマートフォンからも申請できます。

なお、「個人番号カード」を交付してもらうかどうかは任意です。「通知カード」に番号が記載されているので、提出を求められたときは「通知カード」の番号を知らせればすみます。ただ、「個人番号カード」は顔写真を入れる決まりなので、公的な身分証明書として使える、健康保険証の代わりに使える、インターネットで確定申告ができるなど、将来的にも利用範囲が広がり、持っていると便利になりそうです。それだけ、個人情報漏えいの危険性は高まりそうではありますが。

近々、みなさんのところに「通知カード」が届きます。夫の会社やお子さんが通っている学校でまとめて申請する場合は「個人番号カード」を作らないわけにはいきませんが、そうではない方は「通知カード」を大事にしまっておき、必要なときに番号を知らせればいいような気がします。

小川 千尋

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