国は子育て世代に何をしてくれようとしている?
社会保障と税の一体改革関連法案に含まれている子育て支援に関する法案は、 「子ども・子育て新システム関連3法案」と呼ばれています。
その3つの法案とは、「1.子ども・子育て支援法案」、「2.総合こども園法案」、「3.関係整備法案」です。それぞれの法案の主旨は―。
1.子ども・子育て支援法案……すべての子どもに良質な生育環境を保障する等のため、子ども及び子育ての支援のための給付の創設並びにこれに必要な財源に関する 包括的かつ一元的な制度の構築等の所要の措置を講ずる。
すったもんだあった「児童手当」は、この法案の「子ども・子育て支援給付」の 「子どものための現金給付」に位置付けられています。
2.総合こども園法案……小学校就学前の子どもに幼児期の学校教育及び 保育並びに保護者に対する子育て支援の総合的な提供を図る 「総合こども園」に関し、その目的、設置、運営その他必要な事項を定める。
子育て支援の目玉は、この「総合こども園」を整備することで、 これをもって待機児童の解消を目指すとのこと。
3.関係整備法案……上記2法案の施行に伴い、関係法律の規定の整備等を行う。
この子育て支援に関する法案は、このままスンナリ決まりそうもありません。 その理由は、いろいろありすぎて簡単にはまとめられないのですが、 いくつかあげてみました。
まず、財源の問題です。子育て支援制度には1兆円の追加財源が必要とのことですが、5%の消費税増税分から7000億円を充てる方針です。 が、残りの財源をどこから手当するかは明らかにされていません。「ない袖は振れない」はずなのですが、永田町と霞が関には 「ない袖を振れる」打ち出の小づちがあるのでしょうか?
そして、新たに成立される「総合こども園」は、株式会社の保育市場への 参入を促すとのことですが、この方策も、まだ規制が厳しすぎて、 いまいちパンチ不足のようです。
自民党が対案を出して、反対の立場をとることを明らかにしていることも、 この法案にかかる暗雲の1つです。自民党は、「子育ての基本は家庭」との 立場で、待機児童対策は既存の「認定こども園」の設立推進を掲げています。 どうやら、幼稚園団体から支持を受ける議員が「総合こども園」に 反対の立場を示しているらしいのです。
政治家には、自分たちの団体というか、業界というか、いわゆる一族郎党の 既得権益と利益を守るために働くのはやめてほしいですよね。 もはや、日本はかなり前から、そんな一部の人たちに利益を独占させる なんてことができる余裕はなくなっているのですから…。
今年4月1日現在の15歳未満の子どもの推計人口は、 前年より12万人少ない1665万人で、 統計をさかのぼれる1950年以降で最も少なかったそうです。
少子化対策は、待ったなしの状況にあるのは、 政治家や官僚、そして、国民の共通認識だと思います。 政治家の皆さんにはきちんと議論していただきたいものです。
子育て世代やこれから子どもを持とうと思っている人は、 自分たちの子育てと生活に関わるので、この法案(だけでなく、 その他の法案も)の行方に目を離さないようにしてくださいね。
小川 千尋