教育資金データの活用は、わが家に合わせて
教育資金の準備を考えるときに参考にする、アンケートなどをもとにした教育資金のデータ。しかし、表やグラフにまとめられた「平均額」等では、実態がわかりにくい場合もあります。教育資金データの活用の際の注意点や教育資金の情報の集め方を考えてみましょう。
教育資金準備をスタートする前に、データをチェック
「将来の教育費負担に備えて、お金を貯めなくちゃ」と思い立ったら、目標金額を決めて、貯蓄や運用の計画を立てたいですよね。でも、進路について具体的なイメージが抱けない段階では「いくらかかるのか」、見当がつきません。そんな場合は、表1、2のような教育資金のデータでおおまかに費用を確認してみましょう。
<表1 学習費総額> (円)
※学習費総額:学校教育費+学校給食費+学校外活動費の合計額
※平成26年度の年額
文部科学省 平成26年度「子供の学習費調査」より
<表2 大学の初年度納付金> (円)
国立大:文部科学省令による標準額
私立大:文部科学省「平成26年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額調査」より。私立大昼間部の平均額
自分や家族の状況に合った「データ」を参考に
ただし、教育資金のデータを活用する際には、調査対象や調査項目、調査結果のまとめ方などが、自分のほしい情報と違っている場合も考えられるので注意が必要です。
たとえば、「平均額」。仮に10人に対してアンケートを取り、その回答で「2」が5人、「10」が5人だったとすると、平均は「6」。「6」と回答した人は誰もいなくても、調査結果として発表されるのは「6」となるわけです。平均額が間違っているわけではないのですが、「平均額=みんなが回答した数字」ではない場合もあるので注意しましょう。
また、新聞や雑誌等に載る教育資金等のデータは一般的には「全国平均」が多いですよね。でも、ちょっと考えてみても、学校数、通学のしやすさ、学校外教育(塾や習い事)の傾向などは地域によって違い、それによってかかるお金も変わってきそうです。
表3は、表1にも挙げた「学習費の総額」の人口規模別のデータです。これをみると人口の多い地域と少ない地域で、学習費に差があることがわかります。私立幼稚園、公立小学校、公立中学校のそれぞれで、「5万人未満の地域」と「指定都市・特別区」では、学習費に約16万円の差があります。「5万人未満の地域」「指定都市・特別区」の方は、平均値の数字を、それぞれ「多すぎる」「少なすぎる」と感じるのではないでしょうか。
<表3:人口規模別にみた学習費総額>※平成26年度の年額 文部科学省 平成26年度「子供の学習費調査」より
参考:
・文部科学省 子供の学習費調査-結果の概要
・統計表一覧 子供の学習費調査
このように、調査結果は条件で違ってくるので、教育資金のデータを利用する際には、その調査対象や調査項目、収集時期などを確認しましょう。また、そのデータを発表した機関等のホームページ等には、どのような調査対象、調査内容であったかや、地域別、属性別のデータなどの詳しい調査結果が掲載されている場合もあり、より参考になるデータが見つかる可能性もあります。
早めに、具体的な情報収集を
お子様の将来や進路を具体的に考えられるようになったら、早めに具体的な情報収集をはじめましょう。統計データで把握できるのは、おおまかな教育費の傾向まで。「この学校に行ったらいくらかかるのか」「我が子がこういう選択をしたらいくらかかるのか」は、学校ごとに、進路ごとに調べなくてはなりません。
各学校のホームページには、学費等の具体的な情報も載っています。各学部や学科、コースなどで費用負担が違う場合もあります。また、学校ごとの奨学金情報なども要チェック。教育資金準備が間に合わなくても、進学できる可能性を広げるための選択肢として早めに確認しておきましょう。
学校に関する情報だけでなく、通学手段や、親元を離れる場合の住まいや生活の情報もできるだけ早めに確認しておきたいものです。徒歩・自転車通学か、バス・電車通学かで、費用負担は大きく違います。自宅外通学の可能性があるなら、その地域の家賃情報なども集めて、仕送りがいくら必要なのかなども考えておく必要があります。
教育プランが漠然としているうちは、わが家の状況に合う統計データを参考にして、教育資金の準備を早めにスタート。進路選びが具体化してきたら、早めに情報を集めて、必要十分な金額の教育資金準備をすすめていきましょう。