子どもマネー総合研究会

これからの学校教育はどうなる?

これからの学校教育はどうなる?

小学校・中学校・高校など各学校は、学習指導要領を基準として教育課程(カリキュラム)を編成しています。全国どの地域でも一定の水準で教育を受けられるように、学校教育法に基づき文部科学省が定めているものです。現在のような大臣告示として定められた昭和33年から今まで、ほぼ10年ごとに改訂されています。今回の改訂も約10年ぶりの全面改訂といわれています。

この新学習指導要領は、小学校は2020年度、中学校は2021年度、高校は2022年度から全面実施予定です。そして小学校では2018年度からの2年間が、新学習指導要領への移行期間となり、都道府県や市区町村または小学校ごとに、段階的に先行実施される取り組みが試されているようです。

改訂の背景には、2つのキーワードが挙げられます。グローバル化とデジタル化です。日本で学ぶ留学生や仕事をする外国人は増えています。世界共通語の英語を見聞きすることが日常生活において珍しいことではないほど、グローバル化された社会です。また多くの人がスマホやパソコンを所持し、日常生活で使うことが当たり前となった現在は、デジタル化された社会の中にあります。そして、人の言葉を理解して応えることができたり、将棋を指すこともできるという人工知能の出現は、人が活躍できる場をなくしてしまうのではないかと、個人的に不安になってしまいますが、さらなる可能性を求め今後も進化し続けるものと思われます。実に変化の激しい、予測することが不可能な時代といえます。

これからの時代を担っていく子どもたちには、こういった社会の変化に対応できる能力が必要です。知識や技能があるというだけではなく、それらをもって自分で問題に取り組み、新しいものを提案できる力が必要になってくるのです。必要な能力・資質を確実に備えることのできる学校教育を実現するために、学習指導要領は大きく改訂され、科目・教科や内容が新しくなります。

改訂のポイントは、英語教育改革と高校の必修科目の新設です。

英語教育改革

現在小学5・6年生で行われている外国語活動が、3・4年生からと前倒しで行われるようになります。5・6年生では「英語」は教科となり、点数や通知表などで評価されることになります。さらに、中学校からの英語の授業はすべて英語により行われ、高校では英語でディベートや発表を行うようになるなど、授業内容や進め方が新しくなります。

高校で必修となる科目の新設

高校では、現行の「地理歴史」が見直され、グローバルな視点で課題を解決する力を育てる「地理総合」、日本と世界の関わりという観点で主に近代史を学ぶ「歴史総合」が必修科目として新設されます。また、「公民」では、必修科目として「公共」が新設されます。選挙権が18歳以上になったこともあり、現在そして今後の社会を生きるうえで重要な教科になってきそうです。

英語教育改革は、使える英語を身に付けることにあります。そのためには「読む」「書く」「聞く」「話す」の4つの技能を習得することが重要です。これは、2020年度からの大学入試にも関連します。現在のセンター試験は2019年度で廃止され、2020年度からは大学入学共通テストが実施されます。それに伴い、出題形式と評価方法が変わります。

出題型式

国語と数学の問題に記述式が導入されます。国語では80~120字程度を3問、数学は数Ⅰの範囲で3問程度が記述式問題として出題される想定です。

評価方法

現行の2技能(「読む」「聞く」)評価から、「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能評価となります。民間試験や検定試験が活用されます。

記述式が導入されるということは、思考力・判断力・表現力が評価されるということであり、知識があるというだけでは記述することは難しいでしょう。英語の4技能の評価は民間試験や検定が活用されるということですが、例えば英検の場合、中学卒業レベルである3級とそれ以上の級では、自分の意見を英語で伝えるスピーキング問題と、英文を記述するライティング問題が出題されます。ここでも思考力・判断力・表現力が試されることになります。

つまり大学入学共通テストは、自分で考えた新しい答えを提案できる力を試される場であると言えます。改訂される新学習指導要領で、これからの時代を生きぬく力を育むための教育を受け、大学入学共通テストでその力が評価される、そういう教育へと変わろうとしています。

新学習指導要領の全面実施、そして大学共通テストの導入まではまだ審議が続いている項目もあります。今回は現時点でお伝えできる部分での内容になりますので、気になる項目など詳細は、文部科学省のホームページでご確認ください。

「子どもに使う、子どもが使うお金を考える」子どもマネー総合研究会に所属している私としては、今後の教育改革が行われることにより、教育費にどのように影響してくるかも気になるところです。今後の動向を見守っていきたいと思います。

大澤 亜紀子

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