子どもマネー総合研究会

経済的格差が体験格差を生み、さらに、年収格差を生んでいる!?

家庭の経済的格差が子どもの学力格差を生むことは、多くの社会教育学者の研究で明らかになっています。と、同時に、体験格差をも生んでいることが、この調査でわかってきました。

この調査でいう子どもの頃の体験とは、「自然体験」、「動植物とのかかわり」、「友だちとの遊び」、「地域活動」、「家族行事」、「家事手伝い」です。

調査結果の概要をいくつかピックアップしてみると――。

  • 子どもの頃に「自然体験」や「友だちとの遊び」などの体験が豊富な人ほど「もっと深く学んでみたい」といった意欲・関心、「電車やバスに乗ったとき、お年寄りや身体の不自由な人には席を譲る」といった規範意識、「社会や人のためになる仕事をしたい」といった職業意識が高くなる傾向が見受けられた。
  • 子どもの頃の体験が豊富な人ほど、「どんなことも、あきらめずにがんばればうまくいく」と回答した人の割合が高くなる傾向がみられた。
  • 子どもの頃の体験が豊富な人ほど、最終学歴が「大学や大学院」と回答した割合が高く、その他、現在の年収が高かったり、1カ月に読む本の冊数が多くなる傾向がみられた。
  • 友だちの数が多い子どもほど「学校」が好きと回答した割合が高く、憧れる大人がいると答えた子どもほど「自分にはなりたい職業や、やってみたい仕事がある」と回答した割合が高くなる傾向がみられた。
    (国立青少年教育振興機構のHPより抜粋)

家庭の経済的格差が子どもの学力格差を生むことは、多くの社会教育学者の研究で明らかになっています。と、同時に、体験格差をも生んでいることが、この調査でわかってきたわけです。つまり、家庭の経済格差?体験格差?学力格差という図式が描けるということ。そして、学力格差は年収格差へとつながり、出発点の「家庭の経済的格差」へ戻ります。これは、子世代の体験格差?学力格差……というように、格差の連鎖がエンドレスに続くことになります。

プラスの連鎖ならいいけれど、マイナスの連鎖はどこかで断ち切らねばなりません。そのためには、子どもの「体験量」を増やすことが大切なのですね。とは言っても、何を体験させるにもお金が……。確かに、その通り。ですから、家計を見直して、少しでもいいから「体験費」を作るようにしましょう。その一方で、お金がかからない、または、かかるお金をできるだけ抑えて「体験」する工夫もしたいもの。

たとえば、安い花の苗を1株買ってきて育てる、犬やネコなどのペットの代わりにメダカを飼う、入場料無料のレジャー施設を利用する、本は無料で借りられる図書館から借りて読ませるなど、知恵を絞ればアイディアはたくさん出てくると思いますよ。知恵を絞るのはタダですからね。大いに絞りましょう。

この調査結果を見て、小川研究員は、子どもたちが憧れる大人の1人であるよう、身を律しなければ……と深く深く反省した次第です。

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