学ぶ気持ちを応援したい。知っておきたい学費支援の動き
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、親の収入や学生自身のアルバイト収入が減って、学生生活の維持が難しい学生が増えています。そんな中、国や自治体、各学校などで学費を支援する動きが拡がっています。
新型コロナウイルス感染対策が長期化すると、現在はまだお子さまが小さく教育費に問題がなくても、将来、想定していた教育費プランが実現できない場合もあり得ます。学費や生活費に困る事態になったとき、頼れる支援にどんなものがあるのかをみておきましょう。
「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』
新型コロナウイルス感染症拡大による影響でアルバイト等収入が大幅に減少し、修学の継続が困難になっている学生を対象に、現金給付の制度が創設されました。各大学等を窓口として6月10日までに申込み、独立行政法人日本学生支援機構から現金給付を受けます。
支給対象は、大学・短大・高専・専門学校の学生。原則として、家庭から自立してアルバイト収入で学費を賄っていること、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でその収入が大幅に減少していること、既存の支援制度を利用しても学費などの支出が困難であること等が条件となります
支給額は、住民税非課税世帯の学生等は20万円、それ以外の学生等は10万円です。
2020年4月から、給付型奨学金が拡充されている
新型コロナウイルス問題によって制度改正が行われたわけではありませんが、2020年4月からは、日本学生支援機構が行う「給付型奨学金」の制度が拡充されており、また、給付型奨学金を受ける学生は、大学などで手続きをすると入学金と授業料の減額を受けられるようになっています(表1、表2:文部科学省HP 高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)より)。
給付型奨学金が受けられるのは世帯収入などの条件を満たした学生で、世帯収入の基準は家族構成によっても異なります。日本学生支援機構のHPにある「進学資金シミュレーター」で、収入の基準に該当するかどうかのおおよその確認ができます。
<表1 給付型奨学金の給付額 住民税非課税世帯の学生の場合>
学生生活を送るための生活費として、日本学生支援機構(JASSO)から、原則毎月、次の金額が学生の口座に振り込まれます。
住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は、住民税非課税世帯の学生の2/3または1/3の支援額となります。生活保護世帯で自宅から通学する人と児童養護施設等から通学する人は、カッコ内の金額となります。
<表2 授業料等減免の上限額(年額)住民税非課税世帯の学生の場合>
支援の対象となると、大学等に収める授業料または入学金から、次の表に示された金額が免除・減額されます。
住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は、住民税非課税世帯の学生の2/3または1/3の支援額となります。大学1年次の後期以降から支援を受ける人は「入学金」の免除・減額は受けられません。
「緊急特別無利子貸与型奨学金」が緊急的に設定された
新型コロナウイルス感染症の拡大による影響により世帯収入やアルバイト収入等が大幅に減少した学生への対応として、緊急的に一定期間(令和3年3月まで)、特別の貸与を行う「緊急特別無利子貸与型奨学金」事業も実施されます。日本学生支援機構の貸与型奨学金には無利子の第一種と有利子の第二種がありますが、この制度は、第二種奨学金(有利子)制度を活用しつつ利子分を国が補填し、実質無利子にて貸与されるというものです。
国内の大学・短大・高専、専門学校などの学生が対象で、a~eのすべてに当てはまることが要件となります。
a.第二種奨学金の基準(人物・学力・家計)を満たしていること
b.申込時点で、第二種奨学金の貸与を受けていないこと
c.家庭から多額の仕送りを受けていないこと(仕送り額が年間150万円以上ではないこと)
d.生活費・学費に占めるアルバイト収入の占める割合が高いこと
e.本人のアルバイト収入について、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大幅に減少(前月比50%以上減少)したこと
学校独自、自治体独自の制度もチェック
新型コロナウイルス問題によって経済的困っている学生に対して、大学等の各学校も、授業料納付期限の延長や現金給付、授業料の減免など支援の仕組みを設けています。学生の支援に充てるため、卒業生等に寄附を募っている学校も多いようです。学校によって支援内容は異なるので、各学校のHPなどで確認してみてください。
その地域出身の学生を支援する独自の制度を設けている自治体もあります。
たとえば、青森県おいらせ町では、親元を離れ保護者と別居する学生には1人につき5万円、町内に保護者と同居する学生には1人につき2万円を「学生応援給付金」として支給する制度を設けています。また、静岡県東伊豆町では、新型コロナウイルス感染症対策事業として大学、短大、大学院、専門学校等に在籍している東伊豆町出身の学生に支援として1人あたり2万円 を給付する制度「東伊豆町大学生等支援給付金」を設けています。
出身自治体のHPや広報紙などもときどき確認し、利用できる制度がないかチェックしておきましょう。
このように、国だけでなく、地方自治体や学校等も学生支援の制度を設けています。新型コロナウイルス問題が終息するまでは学習環境も経済的にも、不安定な状況に陥る学生も多いと思います。困難にぶつかったときに、「奨学金制度はどうなっていた?」「うちの大学に支援制度は?」等、学び続けられるよい対策を見つけられるように、随時情報を集めておきましょう。