子どもマネー総合研究会

2017年4月、給付型奨学金が先行実施される

大学生の2人に1人が受けている奨学金。これまで、国の奨学金制度には、卒業後に返済する貸与型しかありませんでした。国の奨学金だけではありませんが、貸与型の奨学金を受け、卒業後の返済が苦しいという話をよく聞きます。それを結婚できない理由の1つにあげる人もいるそうです。

そんな状況のなか、長らく待たれていた給付型奨学金が、国の制度としてついに新設されることになりました。本格実施は来年の2018年度からですが、今年4月、先行実施されます。

今年は、経済的に特に厳しい状況の学生が対象

給付型奨学金の創設趣旨・目的は、優れた生徒であって、大学(短期大学、高等専門学校、専修学校を含む)への進学の目的と意思が明確であるにもかかわらず、経済的理由により進学が困難な生徒に対して、返済の必要ない給付奨学金を交付することにより、大学への進学を後押しすることです。2018年度からの本格実施に先立ち、今年は、特に経済的に厳しい状況にある学生を対象として先行実施されます。

対象者は、今年、大学に進学(または進級)し、?私立大学に自宅外から通学する住民税(所得割)非課税世帯の人、②社会的養護を必要とする人(児童養護施設退所者など)です。

つまり、?のケースは、「私立大学」に、「自宅外から通学」する「住民税非課税世帯」の3つの条件が揃っている学生が受けられるということです。私立大学でも、自宅から通学したのではダメ、両親がいても、シングルマザー・ファザーであっても、家計を支えている人に住民税が課税される所得があったらダメということです。ですから、冒頭で触れた友人のお孫さんは、通学形態(自宅通学か自宅外通学)とお母さんの住民税の課税状態で、受けられるか受けられないかが決まるということですね。②の学生は国公立大学、私立大学どちらも対象です。

給付月額は私立大学は4万円、国公立は3万円

条件は、これらだけではありません。人物・健康ともに奨学生としてふさわしいと高校の校長に認められ、進学先の学校長からの推薦も必要とのこと。そのうえで、日本学生支援機構が給付を決定するそうです。

給付される月額は、私立大学は月4万円、国公立は3万円(授業料の全額免除を受ける場合は減額される)です。②の社会的養護を必要とする人は、別途、一時金として24万円が支給されます。

なかなか厳しい条件と給付額ですね。私立大学に自宅外通学で月4万円では家賃も払えないかも…という金額ですが、税金から出すので仕方ないですね。

条件に合う学生さんは、進学先の大学で関係書類を受け取って、日本学生支援機構に申し込みをしてください。

なお、本格実施となる2018年度からは、進学先大学が国公立・私立、通学形態(自宅通学・自宅外通学)で月2万円~4万円の給付となります。

本格実施の内容もインパクトがあるとは言いにくいですね。しかし、給付型奨学金の制度を創設しただけでも、そして、先行実施を行うだけでも評価すべきでしょう。「ない」ものを「ある」にするには、日本の政治では実に大変なことのようですから。今後、国には金額を増やすなど、ちゃんと「使える」制度に育て、経済的格差による教育格差を解消してもらいたいものです。

ファイナンシャル・プランナー 小川千尋

小川 千尋(おがわ ちひろ)

ファイナンシャル・プランナー、子育て・教育資金アドバイザー、終活コンサルタント、エディター&ライター、整理収納アドバイザー2級、ハッピーエンディングプランナー
1994年AFP資格取得。独立系ファイナンシャル・プランナーとして、主にマネー誌、一般誌などのマネー記事の編集・執筆・監修・セミナー講師などで活動。オールアバウトのガイドも務めている。親の生命保険に詳しい。

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