子どもマネー総合研究会

教育資金を学資保険で貯めるメリット・デメリットとは?代表商品もチェック!【2021年】

教育資金を学資保険で貯めるメリット・デメリットとは?代表商品もチェック!【2021年】

教育資金を学資保険(正式な商品種類は「こども保険」)で貯めるメリット・デメリットを整理します。最新の代表商品のチェックしてみましょう。

学資保険とは?

教育資金の準備法の1つとして挙げられる学資保険。保険料を支払い続けることで、教育資金のベースを作ることができる貯蓄型の保険です。満期保険金のみの商品や、進学時期や大学在学中などに学資金が出るなど、内容は様々です。

契約者である親等が、万が一、亡くなったり高度障害になったときには、以後の保険料が免除になり、その後の学資金や満期保険金は契約通り支払われるのが特徴の1つです。子どもが亡くなったときには、それまで払い込んだ保険料の累計額程度が戻る商品が中心です。

満期は子どもの年齢で17歳、18歳、20歳、22歳などがあり、保険料払込も10歳、15歳、17歳、18歳などがあります。近年は、予定利率(契約時に確定する運用利率。割引かれて保険料が計算されます)の低下の影響から、短期払いが主流になっています。

学資保険の中には、経過が順調であれば妊娠中に加入できる商品もあります(出産予定の140日前から)。契約者が夫の場合、妊娠中に夫に万が一のことがあった場合でも、教育資金を残すことができます。

学資保険のメリット・デメリット

学資保険のメリット・デメリットを整理してみましょう。

<メリット>

・教育資金専用としてほかの資金と区分して貯められる
・保険料の払込だとサボりにくい
・中途解約は損になることもあることから、使い込みがしにくい

教育資金の積立は長期にわたるため、家計が厳しくなると続けにくくなったり、住宅取得や車の買換えなどの際には一時的に拝借したくなることもあります。しかし、学資保険はサボりにくく、解約もしにくいことから、継続的に貯めやすい点がメリットと言えそうです。

<デメリット>

・中途解約をすると元本割れも
・保険会社が破綻すると元本割れになる可能性も
・「長期固定金利」のため超低金利期は入り時でない

学資保険は、一定期間内に解約をすると解約控除により元本割れになる可能性があります。そのため、満期まで払い続けられる保険料で始めることが大事。急な進路の変更などにも対応できるよう、流動性のある商品と組み合わせて利用するようにすべきでしょう。保険会社が破綻すると、学資金や満期保険金が減額される可能性があるので、格付けなども確認したいもの。

また、学資保険は長期固定金利型の商品で、契約時に予定利率が確定してしまうので、現在のような超低金利時には不利な商品と言えます。

代表商品をチェック!

いくつか商品を見てみましょう。何とか比較できる内容に条件をそろえたものが表1です。主な商品として、日本生命、ソニー生命、フコク生命、明治安田生命の各商品を取り上げます。

学資保険比較(2021年10月現在))

FPラウンジ・教育資金ルームより転載
※学資保険の利回りは年齢・プランなどの条件で異なる

積立期間が10年、その後据え置き、受取りは分割というプランです。学資保険では、戻り率(返戻率)という指標が使われることが多いですが、独自に「戻り率年利回り」で示しています。

2021年10月現在、定期預金で最も高い金利は0.2%ですが、目先ではそれよりも高めであることがわかります。ただし、固定金利ですので、市中金利が上がったときには逆転する可能性があることも忘れてはいけません。

なお、年払い×クレジットカード払いでより実質利回りを上げる方法もあります。

低解約返戻金型終身保険は?

かつて、学資保険代わりに利用されていた低解約返戻金型終身保険ですが、今はどうなっているでしょう。オリックス生命の商品で見てみましょう。

低解約返戻金型終身保険(2021年10 月現在)

FPラウンジ・教育資金ルームより転載
*戻り率や利回りは年齢・プランなどの条件で異なる。

あくまでも試算例の場合ですが、子どもが18歳になる前日に一括で解約した場合、戻り率の利回りは0.078%。部分解約をして運用期間を延ばせば利回りは少し上がりそうです。学資保険同様、保険料を年払い×クレジットカード払いにすればもう少し上がります。

親の死亡保障不足を補いながら教育資金を準備したいという人には向くかもしれません。

学資保険オンリーで貯めない!

複雑な商品はコストがかかり投資効率が悪いという指摘もあるようですが、「学資保険だから貯められた」という家計もあります。ただし、しっかり試算してプラスになる内容かどうかは必ず確認しましょう。

また、教育資金の目標額全てを学資保険で貯めるのは避け、定期預金や財形貯蓄、一部には「つみたてNISA」などを組み合わせるようにしましょう。それによって、流動性やインフレリスクなど、さまざまなリスクを軽減したいものです。

ファイナンシャル・プランナー 豊田眞弓

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、子育て・教育資金アドバイザー
経済誌・経営誌などのライターを経て、1995年より独立系ファイナンシャル・プランナー。個人相談やセミナー講師の他、書籍・雑誌の執筆や監修などで活動。

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