子どもマネー総合研究会

知っておきたい、子ども・若者の消費者トラブル

知っておきたい、子ども・若者の消費者トラブル

成年年齢が18歳に引き下げられる2022年4月が近づいてきました。自分で契約ができるようになったばかりの「大人」は、よからぬ勧誘や詐欺などのトラブルに見舞われやすそうですよね。また、消費者トラブルは、小中学生が当事者となることも。春休みのお出かけ先に、おうち時間に楽しむゲームに、トラブルの種は潜んでいます。

子どもや若者が遭遇しやすいトラブルについて、国民生活センターのHPに挙げられていた事例を参考にみてみましょう。

新「成年」に、気を付けてほしい消費者トラブル10選

消費者トラブルやその問題解決についての情報発信を行っている「国民生活センター」のホームページでは、2022年4月からの成年年齢引き下げに関連して、新たに成年になる18歳・19歳の方に向けて、特に気を付けてほしい消費者トラブルを10個、ピックアップしています。

<18歳から“大人” 18歳・19歳に気を付けてほしい消費者トラブル 最新10選>
・副業・情報商材やマルチなどの"もうけ話"トラブル
・エステや美容医療などの"美容関連"トラブル
・健康食品や化粧品などの"定期購入"トラブル
・誇大な広告や知り合った相手からの勧誘など"SNSきっかけ"トラブル
・出会い系サイトやマッチングアプリの"出会い系"トラブル
・デート商法などの"異性・恋愛関連"トラブル
・就活商法やオーディション商法などの"仕事関連"トラブル
・賃貸住宅や電力の契約など"新生活関連"トラブル
・消費者金融からの借り入れやクレジットカードなどの"借金・クレカ"トラブル
スマホやネット回線などの"通信契約"トラブル
(18歳から“大人” 18歳・19歳に気を付けてほしい消費者トラブル 最新10選)

「街で声を掛けられたことがある」「知り合いに誘われた話に似ている」など、保護者の方も思い当たるようなトラブルが多いのではないでしょうか。

特に気を付けたいのは、「契約」に関すること。未成年者であれば、法定代理人(親権者又は後見人)の同意を得ないで行った契約の申し込みは原則として取り消せます。しかし成人後は原則として、一方的に契約をやめることができません。

春から進学・就職等で新生活が始まると、新生活への期待や不安でドキドキソワソワしている心理に付け込んだ、一見魅力的な誘い文句に乗ってしまうこともありそうです。トラブルの事例を知っておくだけでも、安易に誘いに乗らない「抑止力」になるのではないでしょうか。

10代~20代に多い、タレントやモデルの契約トラブル

子どもや若者のトラブル事例を見る中で、気になったのが「タレントやモデルの契約トラブル」。「芸能界に入ったきっかけは、友達に誘われてオーディションを受けて」とか、「街でスカウトされて」とか、テレビでタレントが話しているのを聞いたことが何度もあったからです。二十歳前後のタレントが芸能界に入った「きっかけ」なら、オーディションやスカウトは、10代、中高生時代の経験ということになりますよね。

タレント・モデルなどの契約をめぐる消費者トラブルは、10~20歳代の若者を中心に寄せられているそうです。「街中のスカウト」に加え、自らオーディションに申し込んだり、芸能事務所の募集広告を見て連絡したりしたことをきっかけにトラブルに遭うケースもあるそうです。

「テレビに出られる」「仕事を紹介する」と言われても、レッスンも仕事もなかったり、「声優のアルバイトをするつもりが、出演にはレッスン料が必要と迫られ」たり。あこがれる気持ちに付け込まれ、有料のレッスンやマネジメント等の契約が勧められるそうです。

タレントの契約に限りませんが、契約はその場で決断せず、契約内容をよく確認することが必要ですね。タレントやモデルの仕事なら、具体的な活動内容や事務所等のサポート体制費用負担などを確認。契約前に家族や周囲と話し合うことも大切でしょう。

参考: 【若者向け注意喚起シリーズ<NO.9>】タレント・モデルなどの契約トラブル

フリマサービスのトラブル解決は当事者間で

次に目についたのは、中学生女子が当事者となったフリマアプリの事例です。

「フリマアプリでライブのDVDを購入し、商品到着後、すぐに受け取り評価をした。その後、海賊版のDVDであることがわかり、運営事業者に返品・返金を申し出たところ、「受取評価済みのためどうすることもできない。出品者と直接交渉してほしい」と言われた、とのこと。

フリマサービスは個人間の取引のため、トラブルが起きても、原則として当事者間での解決が求められます。また、商品到着後、購入者が受け取り評価すると出品者に代金が支払らわれ、サービス上は取引終了となります。受け取って代金支払いの処理をする前に、商品をよく確認する必要があるのですね。

スマホやインターネットの扱いに慣れている子どもは、躊躇なくフリマアプリなども利用できそう。しかし、大人ほどのトラブルへの警戒や用心はない場合が多いので、トラブルに遭いやすいかもしれません。

フリマサービスに限らず、あらたにサービスを利用する前に、どんなやりとりが想定されて、何に気を付ければよいのか、トラブルになった場合はどうするのかなどを、家族で話し合い、確認しておきたいですね。

フリマサービス トラブル解決は当事者間で

小学生に多い、ゲームの課金トラブル

当事者が子どもになることが多いのが「ゲーム」の課金トラブルです。国民生活センターの発表によると、2020年度のオンラインゲームに関する相談件数のうち、小中高生が当事者となったのは3,723件。そのうち小学生は約半分の1,858件にのぼります。

親のスマホを使ったり、家庭用ゲーム機の親のアカウントでゲームをしていて高額課金、登録されている親のクレジットカードで決済したり、キャリア決済*したり。未成年者が保護者の承諾なくオンラインゲームの課金をしてしまった場合は、未成年者契約の取消しが可能な場合もあります。しかし、親の判断で課金したとみなされ、取消が認められない場合もあります。

安易に親のスマホを使わせない、クレジットカードのパスワード等をしっかり管理する等、トラブルの要因になりそうなことは、事前につぶしておきましょう。

*キャリア決済とは、携帯電話会社のIDやパスワード等による認証で商品等を購入した代金を、携帯電話の利用料金等と合算して支払うことができる決済方法のこと。携帯電話会社によって名称は異なる。

・「スマホを渡しただけなのに…」「家庭用ゲーム機でいつの間に…」子どものオンラインゲーム課金のトラブルを防ぐには?

・家庭用ゲーム機でも! オンラインゲームの課金に注意

このように、新たな「成年」も、小・中・高校生も、消費者トラブルの当事者になる可能性があります。サービスを利用する場合などは、安易に契約しないこと、内容を確かめること、ひとりで悩まず相談することなど、日ごろから家族で話題にできるといいですね。国民生活センターのホームページには、そのほかにもたくさんの相談事例が掲載されているので、参考にしたり、家族の話題の素にされたりするのもよいと思います。

また、万一、消費者トラブルで困った事態になったなら、お住まいの自治体の消費生活センター等に早めに相談されるとよいでしょう。消費者ホットライン「188」に電話すると、自治体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内してもらえます(通話料がかかります)。

ファイナンシャル・プランナー 大林香世

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャルプランナー 、子育て・教育資金アドバイザー
1999年CFP資格取得。教育系出版社、FP会社勤務を経て、2000年より独立系ファイナンシャル・プランナーとして活動中。マネー系ホームページ、新聞等へのコラム執筆、FP向けテキスト・問題集の執筆・校閲、セミナー講師、個人相談などの活動を行っている。

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