子どもマネー総合研究会

教育資金を学資保険で貯めるメリット・デメリット。代表商品もチェック!【2022年12月】

教育資金を学資保険で貯めるメリット・デメリット。代表商品もチェック!【2022年12月】

教育資金を学資保険で貯めるメリット・デメリットを整理します。保険料改定があったので、更新します。

学資保険とは?

教育資金の準備法の1つとして挙げられる学資保険(正式な商品種類は「こども保険」ですが、ここでは学資保険とします)。保険料を支払い続けることで、教育資金のベースを作ることができる貯蓄型の保険です。満期保険金のみの商品や、進学時期や大学在学中などに学資金が出るなど、内容は様々です。

契約者となった親等が、万が一、亡くなったり高度障害になったときには、以後の保険料の払い込みが免除になり、その後の学資金や満期保険金は契約通り支払われるのが特徴の1つです。子どもが亡くなったときには、それまで払い込んだ保険料の累計額相当の保険金が戻る商品が一般的です。

満期は子どもの年齢で17歳、18歳、20歳、21歳、22歳などがあり、保険料払込期間も10歳、12歳、15歳、17歳、18歳などがあります。近年は、予定利率(契約時に確定する運用利率。割引かれて保険料が計算されます)の低下の影響から、短期払いが主流になっています。

学資保険の中には、経過が順調であれば妊娠中に加入できる商品もあります(出産予定日の140日前から)。妊娠中に加入することで、契約者が夫の場合、妊娠中に夫に万が一のことがあった場合でも、教育資金を残すことができます。

学資保険で教育資金を貯めるメリット・デメリット

学資保険で教育資金を貯めるメリット・デメリットを整理してみましょう。

<メリット>

・「教育資金専用」の資金として、色分けをして貯められる
・保険料の払込だとサボりにくいという人がいる
・解約や使い込みがしにくい
・生命保険料控除が活用できれば利回りが上がる

教育資金の積立は長期にわたるため、家計が厳しくなると続けにくくなったり、住宅取得や車の買換えなどの際には一時的に代用したくなることもあります(体験者です…)。

しかし、学資保険だとサボりにくく、損を回避しようという意識も働き、解約しにくいことから、継続的に貯めやすい点がメリットと言えそうです。「学資保険だから貯められた」というご家庭もあります(しっかり試算してプラスになるかどうかは必ず確認を!)。また、生命保険料控除に未活用部分があって活用できれば、利回りを上げることができます。

一方、デメリットとしては次のような点が挙げられます。

<デメリット>

・超低金利の影響で予定利率が低い(インフレリスクがある)
・中途解約をすると元本割れになる場合も
・保険会社が破綻すると元本割れになる可能性がある

学資保険に限らず、貯蓄型保険は現在、超低金利の影響で予定利率が低くなっています。また、一定期間内に解約をすると解約控除等により元本割れになる可能性があります。そのため、満期まで確実に払い続けられる保険料で始めることが大事です。保険会社が破綻すると、学資金や満期保険金が減額される可能性があるので、格付けなども確認したいもの。

代表商品をチェック!

いくつか商品を見てみましょう。できるだけ比較できる内容に条件をそろえたものが表1です。主な商品として5商品を取り上げます。

実はこのほかにも試算をしたのですが、商品は扱っていても、同様の条件で戻り率がマイナスになる商品もありました。プラスの企業では、超低金利の折、何とか維持している企業努力が見て取れます。ソニー生命は2022年7月に、アフラック生命も同11月に保険料の改定(引き下げ)を行いました。

学資保険比較(2022年12月現在)短期払い

FPラウンジ・教育資金ルームより転載*戻り率や利回りは年齢・プランなど条件で異なる。

学資保険比較(2022年12月現在)17歳払済

FPラウンジ・教育資金ルームより転載*戻り率や利回りは年齢・プランなど条件で異なる。

表1は保険料払込期間が10~11年、その後据え置きのプランです。学資保険では「戻り率(返戻率)」という指標が使われることが多いですが、独自に受け取りまでの年数で単純に割った「戻り率利回り」も示しています。

表2は17歳払済のケースで比較したものです。微妙に有利な商品が入れ替わります。保険料の払い方などから有利な商品を選択するといいでしょう。

なお、年払いにするなどでより実質利回りを上げる方法もあります。

2022年12月現在、定期預金の金利は0.002%程度のため、それより高い商品が多いことは確認できます。しかし、日銀の金融政策が変更され、利上げになると不利になる可能性もあることは知っておきましょう。

低解約返戻金型終身保険は?

学資保険代わりに利用されることがある低解約返戻金型終身保険についても見ておきましょう。保険料払込15年間で、17歳経過後に解約をしたときの試算です。利回りは、17歳経過後なので18年で試算しています。

低解約返戻金型終身保険(2022年12月現在)

FPラウンジ・教育資金ルームより転載*戻り率や利回りは年齢・プランなど条件で異なる。

部分解約をして運用期間を延ばす、年払いにするなどで利回りはもう少し上がりそうです。表1の学資保険に比べると貯蓄性は下がりますが、親の死亡保障不足を補いながら教育資金を準備したいという人に向きます。

学資保険とつみたてNISAの組合せで貯める

教育資金は必要になる時期が決まっているため、確実に準備をしておくことが大事です。前述のようにメリット・デメリットがある学資保険ですが、必要な時期に向けて確実に準備する商品の候補の1つとすることはできます。

預貯金同様インフレリスクがあるとされる学資保険ですが、これを補うために、インフレリスクに備えられるよう「つみたてNISA」などと組み合わせて準備をするのも一法です。

ファイナンシャル・プランナー 豊田眞弓

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、子育て・教育資金アドバイザー
経済誌・経営誌などのライターを経て、1995年より独立系ファイナンシャル・プランナー。個人相談やセミナー講師の他、書籍・雑誌の執筆や監修などで活動。

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