子どもマネー総合研究会

インフレを前提にした教育資金準備の方法とは?

インフレを前提にした教育資金準備の方法とは?

近年の物価上昇を受け、8割強の親が教育資金に不安を感じています。インフレが今後も続くとした場合、教育資金準備はどう変えていけばいいのでしょう。

インフレに備えるための教育資金設計

3月に発表された、ソニー生命「子どもの教育資金に関する調査2024」の結果は、驚くべきものでした。83.5%の親が、子どもの教育資金に関して「不安を感じる」と回答したのです。同調査開始の2014年以来、過去最高をマークしました。

不安を感じる理由(複数回答)としては、「物価の上昇」が55.7%とダントツで、「教育資金がどのくらい必要となるかわからない」(35.2%)、「収入の維持や増加に自信がない」(33.5%)と続きます。世界的な原材料価格の上昇や円安が進んだことで、2022年春頃より物価が上昇してきましたが、生活費はもとより、習い事費や塾代などを含め物価上昇を目の当たりにして、今後の教育費への不安が強まったと見られています。

物価の継続的な上昇をインフレと言いますが、インフレは今後も続くとみられます。そんな中での教育資金設計はどうしたらいいのでしょう? 

教育資金の準備は、細く長くコツコツ積み立てが基本ですが、一部をインフレに対抗できる投資型の商品で運用することで、インフレリスクに備えることが大事です。教育資金を運用するため、できるだけ運用リスクは軽減したいわけですが、それには、①資産を分散させ(分散投資)、②長期で、③積み立て投資を行う、という3条件をクリアする必要があります。その視点から、リスクをできるだけ抑えたインフレに対抗できる投資型商品として、投資信託の積み立て(NISA「つみたて投資枠」など)や変額保険・変額年金が挙げられます。

ただし、投資型商品にはリスクもあるので、教育資金の積み立ての3割程度以内にとどめ、ノーリスクかローリスクの預金や財形貯蓄、学資保険などと組み合わせるといいでしょう。例えば、月3万円を教育資金として積み立てるのであれば、2万円を安定運用商品、1万円を投資型商品という組み合わせです。

NISA「つみたて投資枠」

NISA(少額投資非課税制度)は2024年1月から変更され、投資信託やETFの積み立て限定の「つみたて投資枠」(年間120万円まで)と、株式もETFも投資信託もREITも買える「成長投資枠」(年間240万円まで)の両方が使えるようになり、運用期間も無期限化しました。NISAのメリットは、配当や分配金、売却益が非課税で済むことです。

「つみたて投資枠」では、金融庁の基準を満たした、コストが低くて運用実績もある長期投資に向く商品に限定されていることから、NISAで教育資金を運用するなら、「つみたて投資枠」での投信積立が向きます。

変額保険・変額年金

変額保険(有期型)とは、契約者が支払う保険料の一部を「特別勘定」で運用し、運用実績に応じて死亡保険金や解約返戻金、満期保険金が変動する商品のことです。死亡保険金は契約時に基本保険金額(最低保証)が決まります。運用が良ければ、死亡保険金や解約返戻金、満期保険金が増える可能性がある一方で、マイナス運用の場合は、死亡保険金は基本保険金額を下回ることはないものの、解約返戻金や満期保険金は、支払った保険料累計額を下回ることもあります。

変額年金も同様で、契約者が支払う保険料の一部を「特別勘定」で運用し、運用実績に応じて死亡給付金や解約返戻金、年金が変動する商品です。個人年金保険のため、死亡給付金は積み立て金とイコールで、運用が良ければ、死亡給付金や解約返戻金、年金が増える可能性がある一方で、マイナス運用の場合は、いずれも支払った保険料累計額を下回ることもあります。個人年金保険のため、契約時の告知(健康状態などを)は不要です。

「特別勘定」は、株式や債券などで運用される投資信託で、日本株投信、外国株投信、バランス型投信など、保険会社によって複数のタイプが用意されています。

保険商品なので、どうしても死亡保障などのコストとして保険関係費などがかかります。また、商品によっては7~10年以内に解約をすると解約控除がかかるので、期間中の中途解約には注意が必要です。

変額保険・変額年金選びのポイント、注意点

変額保険・変額年金で教育資金の積み立てを行おうと思った場合、まずは、次のような点を確認しましょう。

ファイナンシャル・プランナー 豊田眞弓

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、子育て・教育資金アドバイザー
経済誌・経営誌などのライターを経て、1995年より独立系ファイナンシャル・プランナー。個人相談やセミナー講師の他、書籍・雑誌の執筆や監修などで活動。

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