東京大学の授業料が2割値上げへ
報道などで大きな話題になっていた東京大学の授業料値上げ問題。デモまで起きてどうなることやらと思っていましたが、学生への支援策を拡充すると共に、最終的に2025年からの値上げが決まりました。
学部は2025年度から約11万円の値上げ!
家計にとっては、学費が安い国立大学の存在は大きな助けでもあります。その代表ともいえる東京大学の値上げは、今後の国立大学全体の値上げにつながることが予想され、由々しき問題でもあります。できれば変えないで欲しいという希望はあるものの、大学側も値上げをしないと経営が厳しくなっている状況があるようです。
国立大学は全国に86大学あります。2004年に国の組織から切り離され、各大学が独立した法人格をもつ国立大学法人となり、運営も大学ごとに行っています。授業料は、国が定めた標準額である53万5800円を基準に、±20%の範囲で授業料を設定することになっています。今回、東京大学は、上限とされる標準額の20%加算となる64万2960円に値上げをした形です。
東大の授業料値上げの概要を整理しておきます。
・学部生は、2025年度入学者から約11万円を引き上げ64万2960円とする。
・値上げ分は、学修支援システムや図書館機能の強化、海外留学のための奨学金など教育の環境改善につなげるとのこと。
・大学院のうち、修士課程と専門職学位課程は2029年度入学者から64万2960円に値上げ。博士課程は据え置かれる。
値上げが必要なワケ
法人化から20年間、標準額は変更されずに来ました。しかも、多くの大学がこの標準額を授業料として頑張ってきたのですが、国から国立大学に支払われる運営費交付金が13%も削減されてきた上、近年では光熱費高騰をはじめ物価高や人件費増などもあり、大学の財務状況が限界になってきたようです。
国立大学の値上げについては、2019年には東京工業大学、東京芸術大学、2020年には千葉大学、一橋大学、東京医科歯科大学が授業料の値上げを行ってきました。いずれも、法律で定められた「標準額+20%」の範囲での値上げで、現在は86校中7校が標準額を上回る授業料を設定しています。
他の国立大学でも、置かれている状況は変わらないため、値上げをしてくると考えられますが、中間層まで含めた支援策をセットで実施して欲しいものです。そもそも、国立だけでなく、私立進学においても、中間層までの支援を急いで欲しいと願います。