自転車の交通違反の罰則は強化傾向に。交通ルールを確認しましょう
通勤や通学に、子どもの送り迎えに買い物にと、多くの子育て家庭で活躍する自転車。免許不要で乗れますが「くるま」の一種なので、交通ルールに従って乗ることが必要で、違反には罰則も設けられています。2024年11月には道路交通法が改正され、ながらスマホなどの危険な乗り方に対する罰則も整備されました。
大人も子どもも楽しく自転車を活用できるように、自転車のルールを確認しておきましょう。
自転車は「軽車両」。道路交通法を守って利用する
自転車は「軽車両」に分類される「車両」の一種です。したがって、道路交通法に従って運転するのがルールであり、警察による取り締まりの対象にもなり、罰則も設けられています。「車両は歩道等と車道の区別のある道路では、車道を通行しなければならない」とされていて、罰則は罰則3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金です。また、「止まれ」の赤い標識があったら、自転車も停止線前で一時停止しなければ違反になりますし、一方通行の標識があれば従わなければなりません。
警察庁によると、自転車運転者の信号無視や一時不停止等に対し、指導警告や検挙が行われており、令和6年中は、約133万件の指導警告票を交付し、約5万2,000件の交通違反を検挙したそうです(。
自転車は原則として、自動車と同様のルールを守って乗らなくてはなりませんが、自転車だから、軽車両だから認められている例外もあります。
たとえば、自転車は車道の左側端を走ることが原則ですが、13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が普通自転車を運転しているときは歩道を走ることが認められています。また、一方通行の標識に「軽車両を除く」と書いてあれば、自転車の逆走は可能です。ただしその場合でも、原則通り道路の左側の端に沿って走行しなければなりません。
子どもが自転車に乗るようになったら、道路標識を見ながら、家族で、標識の意味や「軽車両は除く」とはどういうことなのかなど、確認しておきたいですね。
違反行為を繰り返すと「自転車運転者講習」の対象に
自転車の運転について違反行為を繰り返す人に対しては、2015年6月から「自転車運転者講習」の制度が設けられています。対象年齢は14歳以上です。
都道府県公安委員会は、自転車の運転について、表1の違反行為(自転車危険行為)を反復して行った者に対し、講習の受講を命ずることができます。受講命令に従わなかった場合は5万円以下の罰金」です。
自転車の危険な運転は罰則規定が強化
2024年11月には、いわゆる「ながらスマホ」や酒気帯び運転について、自転車の危険な運転に対する罰則規定が追加整備されました(表2)。「ながらスマホ」で周りを見ないで走ってくる自転車に、「歩行者」として怖い思いをした経験のある方も多いのではないでしょうか。
モバイル社会研究所の調査によると、スマホを持ち始める年齢10.3歳(出典: NTTドコモ モバイル社会研究所HP)です。特に、自転車の運転に慣れて、自転車通学などしている中高生は「ながらスマホ」で運転してしまうこともあるかもしれません。
2026年4月には、交通反則切符(青切符)が自転車に切られるように
さらに、今年4月に警察庁は、2026年4月から、自転車の交通違反に対して交通反則通告制度(青キップ)を導入する道路交通法の改正を施行する方針を発表しました。青キップは、比較的軽微な交通違反を反則行為とし、罰則適用に代えて反則金の納付という方法で処理する制度です。自動車を運転していてスピード違反などを犯した場合などに、警察官から「交通違反告知書」と「納付書」を受け取って支払いを求められる罰金の制度ですね。その制度が自転車にも導入され、自転車の走行中のながらスマホや逆走、信号無視などの違反行為が「罰金」に直結することになります。
このように、自転車事故防止のため、自転車運転に対する罰則はだんだん強化されていっています。健康的で便利な乗り物である自転車は、老若男女を問わず、加害者にもなり得る「くるま」の一種。危険な運転をしていないか、交通ルールを破っていないか、家族で再確認しておきましょう。
参考
・警視庁HP 1 車道が原則、左側を通行 歩道は例外、歩行者を優先
・警視庁HP 自転車の交通ルール
・警察庁HP 自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~
・警視庁HP 自転車に関する道路交通法の改正について