「学校の管理下」のケガなどが対象の「災害共済給付制度」とは
学校でケガをして病院にかかった場合などには、学校を通じて加入している「災害共済給付制度」から給付が受けられます。たとえば、学校の管理下でのケガや病気等で健康保険を使って病院で診療を受け、病院での窓口負担が3,000円だった場合には、4,000円の給付を受けることができます。
災害共済給付制度では、ケガだけでなく、熱中症なども対象となり、通学・下校時も対象となります。どんなときに給付が受けられるのか、確認しておきましょう。
日本スポーツ振興センター(JSC)の災害共済給付制度
災害共済給付制度は、学校教育の円滑な実施に資するため、独立行政法人日本スポーツ振興センターと、学校・保育所等の設置者との契約(災害共済給付契約)により、「学校・保育所等の管理下」における児童生徒等の災害(負傷、疾病、障害又は死亡)に対して災害共済給付(医療費、障害見舞金又は死亡見舞金の支給)を行う制度です。
その運営に要する経費は、国、学校・保育所等及び保護者(同意確認後)の三者で負担する互助共済制度なので、低い掛金で給付を受けることができます。
幼稚園・保育所等から小・中・高校、高等専門学校や高等専修学校など、災害共済給付制度は幅広い学校等が対象となっています。
2025年度の共済掛金の額は、小学校や中学校だと、児童一人当たり年間920円(沖縄県は460円)です。
給付対象となる「学校の管理下」とは
給付の対象となるのは、「学校の管理下」の災害(負傷、疾病、障害又は死亡)です。
通常の授業中はもちろん、クラブ活動や運動会、遠足、修学旅行、夏休みの水泳指導、休み時間も対象になります。また、通常の経路や方法で登校(登園)、下校(降園)したときの災害も対象になります。
給付対象となる災害の範囲と給付金額
学校の管理下で生じたケガや疾病の場合、医療費の総額が5,000円以上かかったものが対象になります。給食による食中毒や、熱中症も対象になります(表1)。ただし、保険外診療分(紹介状のない大病院の初診時の自費分、差額ベッド代等)・交通費等は給付対象になりません
また、障害が残った場合、死亡した場合にも給付があります。
給付金額
ケガや疾病の場合の給付金額は、医療費の総額の4割です。病院での窓口負担分の3割に「療養に伴って要する費用」として1割が加えられ、合計4割が給付されます。
たとえば、学校の管理下でケガをして、健康保険を使って病院で診療を受けた場合には、病院での窓口負担は3,000円(医療費の総額の3割)ですが、JSCから4,000円の給付を受けることができます。なお、その他の給付等(例:自治体の乳幼児医療費助成)を受けた場合は、その受けた限度において給付は受けられません。
請求方法と時効
JSCへの請求や給付の手続きは学校等を通じて行われます。受診した医療機関等で医療費の証明を受けて、学校に災害の報告書と医療費の証明を提出します。
なお、災害共済給付を受ける権利には時効があります。ケガや疾病の場合は、受診月から2年間請求を行わないと、時効で給付を受けられなくなります。「給付が受けられるかも」と思ったら、早めに学校等の先生に確認し、手続きを忘れないようにしましょう。
クラブ活動中にケガしたり、熱中症になったり。「学校の管理下」でのケガや疾病は結構ありますが、「学校の管理下でのケガなどで診療を受けたら給付を受けられる」ことを忘れていると、請求もできません。子どものケガや病気などの万一には「災害共済給付制度」もあることを思い出して、対象となるかどうか、学校等に確認してみてください。