子どもマネー総合研究会

子ども手当で教育資金のベースをつくろう

子ども手当がスタートして半年がすぎました。今、国会でも来年度の増額が話し合われていますが、どうやら2000~3000円程度のようです。今回は子ども手当の概要の見直しと、これを貯めておけば教育資金のベースがつくれますよ、というハナシです。

再チェック「子ども手当」

平成22年6月、深刻な少子超高齢化の打開策としてから子ども手当がスタートしました。中学卒業までの子ども1人につき月13000円。所得制限がなく、該当する子どもがいる場合には、全てのご家庭で受け取れるのが大きな特徴です。支給要件は、子どもを監護し、かつ生計を同じくしていること等。手当は、年3回(2月、6月、10月)、その前月分までの4カ月分が支給されます。4カ月ごとに子ども1人につき52000円が振り込まれるのは、ママ・パパにとってはけっこううれしいことですね!

報道などでも騒がれ、問題となった、児童養護施設に入所している子に支給しないことや、在日外国人の子が海外に居住する場合にも支給するといったルールは、児童手当に従ったもの。前者は世論を受けて22年度は「安心子ども基金」を活用して子ども手当と同額を支給することになりましたが、23年度に向けて対策が検討されています。

また、平成23年度の給付額も国会で検討されています。民主党のマニフェストでは当初26000円と提案されていましたが、財源の目途がつかず、初年度は半額で導入されたいきさつがあります。23年度の子ども手当の満額支給はやはり財源がなく厳しそう。どうやら、月2000~3000円程度の増額をする流れになってきたようですが、まだわかりません。

今のままでも、15年間いただければ230万円前後になります(誕生日でもらえる金額は異なります)が、でも実はこの分が丸ごとプラスになったわけではありません。

増税分もお忘れなく・・・

子ども手当の創設とあわせて、15歳以下の年少扶養控除が所得税(38万円)、住民税(33万円)とも廃止され、16~18歳の特定扶養控除については所得税の控除は現行63万円→38万円、住民税の控除も現行45万円→33万円まで圧縮されたことは忘れないようにしましょう。配偶者控除の廃止は平成22年度は見送られましたが、そう遠くなく導入される可能性も・・・。

これは、相対的に高所得者に有利な所得控除から、相対的に支援の必要な人に有利な手当に切り替えるという民主党の「控除から手当へ」という方針に基づくもの。ですから、「子ども手当は年15万6000円のプラス」と単純に考えるのは大きな間違いで、増税になっている分があることも忘れてはいけないのです。所得が高い人ほど増税も大きくなります。入ってくるけれど出て行っている分がある、ということですね!

子供は小学生(1人)、妻専業主婦の場合

年収 税金 差額②-①
500万円 子ども手当 156,000
  所得税増額分 -31,500
  住民税増額分 -33,000
  合計 91,500
800万円 子ども手当 156,000
  所得税増額分 -76,000
  住民税増額分 -33,000
  合計 47,000

子ども手当てプラスαで目指せ300万円!

子ども手当てが13000円のままでも、15年で230万円前後になると前述しましたが、これをそっくり貯蓄して教育資金のベースにしよう、というのがご提案です。これに親戚からもらうお年玉やお祝い、お小遣いの一部をプラスすれば、教育資金の1つの目標額300万円(高校まで公立で、大学は自宅通いの場合の目標額)はほぼ達成できます! 進路に合わせて、準備する教育資金の目標額をもっと高く設定する場合は、他にも計画的な積立をしてくださいね。

子ども手当てを振り込む口座をメインバンクと分けるなどして家計と分けることが、教育資金をしっかり貯めるポイント。こども保険(学資保険)に加入して、その保険料を子ども手当ての口座から引き落とすのも1つの方法です。

子ども手当は、血税(一部は赤字国債という借金)ですから、子どもの教育など将来に有効に役立たせたいものです。

ファイナンシャル・プランナー 豊田眞弓

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、子育て・教育資金アドバイザー
経済誌・経営誌などのライターを経て、1995年より独立系ファイナンシャル・プランナー。個人相談やセミナー講師の他、書籍・雑誌の執筆や監修などで活動。

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