子どもマネー総合研究会

贈り物を通して感じて欲しい「大切にすること」「必要なモノ」

モノに溢れる現代っ子は、モノに麻痺してしまっているのでしょうか。本当に「欲しいもの」、本当に「必要なもの」が、どうやらわからなくなっているようなのです。「子どもマネー」の子ども向けセミナーでも、「いま、どうしても欲しいものはなんですか?」「いま、本当に必要なものはなんですか?」と質問すると、なんとほぼ100%に近いお子さんが、「特になーい!」と答えます。「買ってくれるといえば、DSのソフトが欲しいけれど、どうしても欲しいかというと、そうでもない」というのです。「必要なもの」に至っては、ほんとうにどれもこれも持っていて、必要なものがなくて困っているというお子さんは、一人もいません。

ご多分に漏れず、我が子も同じです。モノに溢れて育っています。そんな中、お誕生日やクリスマスに何を贈るか、親は本当に困ってしまってしまいます。

娘に初めて贈ったプレゼントは、犬の縫いぐるみ。1歳のお誕生日でした。その縫いぐるみには、夫が子どもの頃に飼っていた犬の名前「ベル」と名づけ、いまでも取れそうな足や尻尾を縫いはぎしながら、娘は大切にしています。

ところが、それ以降のお誕生日やクリスマスは、どうでしょう。キティちゃんのキッチンセットや、りかちゃん人形などが記憶にありますが、どの時期に、何を贈ったのか、親もはっきり覚えていないほど。恥ずかしながら、どこかに行方不明になっているものもあります。

せっかくの贈り物なのに……。親から子に贈る、せっかくの機会なのに……。これじゃダメだ! これじゃ、せっかくのチャンスがもったいない。

ということで、娘5歳のお誕生日からは、一生残るものを贈ろう、と決めました。こだわりは、「本物であること」「一生ものであること」、そして「価格が適正であること」。

今のところ、毎年、ミキモトのパールのピンブローチを贈っています。小さな子はなかなかアクセサリーをつける機会はありません。でも、小さなパールのついたピンブローチなら、子どもの丸襟につけても可愛らしい。さすがに普段使いにはできませんが、結婚式や発表会、ちょっとした御呼ばれなどに活躍しています。

アクセサリーを見つけるときのコンセプトは、「娘がおばあさんになっても使えるもの」。どれも大人可愛いデザインなので、もちろん、母親も借りられます。「今日、これ貸してね」なんて娘にお願いすると、娘は得意そうに、うれしそうに、「どうぞ」と貸してくれます。

とはいえ、いくら「本物」「一生物」といっても、価格が適正でなければ、子どもへの贈り物として健全とはいえません。ミキモトといえば高そうな印象ですが、ピンブローチなら、比較的求めやすい価格からあります。私が探す価格帯は、2万円台まで。小学生へのプレゼントとしては、やや高めかもしれませんが、一生使うこと、母も借りられることなどを鑑みますと、十分にモトはとれると確信しています。しかも、ミキモトの製品なら、一生涯、修理の保証があるそうです。そういう意味でも、一生モノとしてピッタリです。

しばらくはピンブローチのままでいきますが、中学生くらいになったら、ブレスレットもいいでしょうか。高校生になったら、ネックレスやペンダントも。大学生になったら、指輪もいいですね。と、贈り物を通して、娘の成長も楽しむことができそうです。

そして、何より、このプレゼントにしてよかったと感じるのは、娘がほんとうに大切にしてくれていること。アクセサリーのBOXには、贈った年月日と歳を書き、勉強机に専用の引き出しを作って、大切にしまってくれています。また、このパールをつけることは、娘にとって特別なことのようで、お出かけの際のお行儀も大変よろしい。

本来なら、おもちゃや折り紙などを宝物にしてくれたなら、子どもらしくていいのですが、モノに溢れる現代っ子は、どうもそうはいかないよう……(ウチの子だけか!?)。娘のおもちゃ箱には、ぐっちゃりとガラクタがてんこ盛りされています。(もしかしたら、娘にとってはガラクタではなく、ほんとうは宝物なのかもしれませんが……)何かを大切にして欲しい、そんな親の想いから、リアルパール作戦に至ったわけですが、この作戦は見事成功したようです。

と、我が家はお誕生日にはかなり奮発いたしますが、クリスマスのプレゼントは、かなり地味です。小学生になる直前のクリスマスには、エンピツ削りと筆箱でした。その翌年は、クーピーペンシル(でも、30色だよ!)そうそう定期入れやお財布のときもありました。

小学生になっても、いまだにサンタクロースを信じている娘は、「どうして、ウチだけいつも渋いの?」と嘆きます。娘は、みんなが持っているDSやたまごっちが欲しいのです。

そんなとき、私は娘に話します。「サンタさんは、ほんとうに必要なものをくれるのよ。エンピツ削りをもらって助かっているでしょ?定期入れがあって、便利でしょ? でも、人生には、楽しむ時間も必要だから、サンタさんが、いつか、楽しむためのDSをくれることもあるかもね。いま、ほんとうに必要なものは何かな?DS? たまごっち?それとも宝石の図鑑かな(娘は光もの好き)?」

クリスマスまで、あと少し。サンタさんに必要なものを訴えるため、母娘で「本当に必要なもの」を考えます。……必要なものをひねり出す、というのも変な話しですね。そこまでしないと考え出ないなら、必要なものとも言えないような…。

たかが子どもへのプレゼント。でも、親から子に贈る、大切な機会。モノだけでなく、親の想いも贈りたい。

さて、今年のクリスマスは、何を贈りましょうか……。

ジョアン・安部

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