幼児期のマネー教育
子どもに対する金銭教育には「お金の使い方」と「お金の稼ぎ方」の二つあると思います。今回は幼児期における「お金を稼ぐ意味」について、私の経験を踏まえてお話したいと思います。 「働かざるもの食うべからず」という言葉がありますね。まさに私の母親がそうでした。私は小学4年生からおこづかいをもらってましたが、それには「お手伝い」をしないともらえないというルールがありました。
お金と生活力は密接に繋がっていると思いますが、この生活力はどうやって身についていくのでしょうか。あるお母さんに「子どものおこづかい」について伺ったところ、小学5年生で2000円/月、小学3年生で1500円/月、与えているとのことでした。宮崎の平均年収、男性427万円(月収29.5万円)からすると割高なお小遣いになります。詳しく話を伺うと親としてとても尊敬することがありました。
まず、お子さんが娘さん二人ということで「女は料理ができないとだめだ」という考えがあり、3歳からお米とぎをさせていて、年齢が上がるにつれて、掃除、洗濯、料理と生きて行く為に必要な事を教えているとの事でした。そして、一つでも自分の仕事をしていないとおこづかいを与えないという厳しい考えがありました。今では、お母さんが仕事を終え、帰ってくると掃除、洗濯は終わっており、晩御飯ができていることもあるようです。生活力というのは親の強い意思により子どもに備わってくるんだなと実感しました。
このお母さんを見習い、我が子の5歳、3歳に実践してみることにしました。まず子どもと話し合い、5歳は「お米とぎ」3歳は「洗濯物たたみ」を毎日したら、土曜日に50円お小遣いを与えるというルールを作りました。初日、「お手伝いしてね」と声をかけると素直に頑張ってました。一週間目は声をかけるとちゃんとしてくれたので、50円をあげると「お菓子が買える」と大喜びでした。しかし、2週目、3週目になると、テレビが見たい、眠たいなどと言い訳をしてやらなかったり、私自身も「自分でした方が早い」と思い、声をかけなかったりとなかなかうまくいかず、失敗に終わりました。
そして次のルールは「何かお手伝いをしたら、10円あげる」にしました。子どもひとりひとり、やりたい仕事、やりたくない仕事があるようで、5歳の子は洗濯ものたたみやおもちゃなどの片付け、3歳の子はお米とぎや野菜切りなどが好きなようです。この時の注意点は、お手伝いをしたら即お金を与えるということです。後であげるねと言うと子どもが「お手伝いをしたらお金がもらえる」ということ理解することができません。私の夫も子どもが洗濯物がたためる、卵が割れる、お手伝いをするということが嬉しいようで「お手伝いしたら10円あげるよ」と言って手伝いをさせています。また、お手伝いをしてもらったら嬉しいという気持ち「ありがとう」と言う言葉でちゃんと伝えることも大切です。私がまだ実家にいる頃、母が昼食を食べに仕事から帰ってくると御飯を用意してまっていると母が嬉しそうに「御飯できてる」と言いました。喜んで貰えると私も嬉しくなり、今度から御飯の準備をしようという気持ちになりました。、働く、仕事をする=相手に喜んでもらいお金をもらえるというサイクルを小さな頃から教えることにより、働く意味を知り夢のある大人に成長するのではないかと思います。
そして、貯まったお金を持って自分の欲しい物(お菓子)を買いに行きます。自分でお菓子を選び、レジへ行き、代金を支払う。この流れが子どもなりに嬉しいようで、大人になった気分になっていますが、まだ、1円10円などの価値が分かっておらず、1円がいっぱいあって、「お金いっぱいもってるよー」っと無邪気に言います。そして、またお菓子が買いたいと思いお手伝いを頑張ってくれます。このお手伝いルールで5歳の子は、働く=お金がもらえるということを理解したようで、欲しいものがあると「なにかお手伝いすることある?」っと聞いています。今のところ作戦成功といったところでしょうか。
私もそうですが、「子どもに苦労はさせたくない、子どもの希望は叶えてあげたい」という親心があります。しかし、苦労をさせたくない=過保護にするではないと思います。子どもの希望通りなんでも与えてしまうと、大人になっても親を頼ってしまい、一人では生きていけない大人になったりするのではないでしょうか。また、親にも限界があるということを子どもに示すことも子ども自身の成長につながるのではないかと思います。先程も話しましたが、宮崎の男性平均年収427万円です。女性の平均収入は274万円、夫婦共働きで701万円ですが、夫の扶養範囲内(非課税内)で働くと100万円程度となり、世帯収入が527万円程度となります。この年収は東京都の男性返金年収599万円に50万円程不足した金額になります。宮崎では住宅取得にかかる費用が東京と比べ割安で2500万円程度で新築の住宅購入できますが、この収入で子どもを大学まで通わせるとなると子どもが小さなうちからのマネープランが必要となってきます。子どもが小さな頃から将来について家族で話し合いプランを立てていくことが親にも子どもにも明るい未来がまっているのではないかと思います。
池田幸子