留学中にも起きうるトラブルに備えましょう
今回、ニュージーランド南部のクライストチャーチで起きた地震によって、日本人留学生の身に起きたことは、決して他人ごとではありません。
高校生の正規留学を中心に、「留学」をテーマにコラムを書いてきましたが、「留学」と一言で言っても学術、語学、職業、研修、お稽古など、実にさまざまな留学のカタチがあるのだと、あらためて実感しました。また、留学期間も、1週間程度の短期間から数年にわたる長期間までいろいろなケースがあります。世界情勢をよみ、暴動や戦争などの危険を回避して、留学先を選ぶことはできても、地震のような自然災害をあらかじめ予測して留学先を決めるということは正直なところ困難なことでしょう。
でも、誰もが今回のような地震だったり、津波だったり、自然災害の被害者になる可能性があるわけです。厳密に言えば、留学先の外国だけとは限らず、日本にいたとしても関東大震災クラスの大地震が起きる可能性が70%以上といわれる昨今、いつ被災するかもわかりません。
そこで、国内でも留学先でも、子どもの普段の通学や放課後の生活経路、主に過ごす場所などは知っておくべきです。そして、一般的ではありますが、子ども自身も防災グッズの用意、いざという時の通信手段、街や学校での非難場所&避難経路の確認だけは行っておきたいものです。親子で情報を共有することは忘れないでください。
そして、いざという時の通信手段を考えておきましょう。今回の地震で倒壊した建物のがれきの下敷きになったことを外部へ伝えられたのは、携帯電話のメールだったと、報道されました。携帯メール(パケット通信)は、同時に多数の人が同じネットワークを利用できるため、携帯電話の音声通話に比べて効果的にネットワークを利用できるのだそうです(参考/NTTdocomo「災害時のネットワークの安全・信頼性を高めるための取り組み」)。また、携帯電話のストラップにホイッスルをつけることも、身動きが取れなくなった時に、自分の位置を知らせる手段としては有効だそうです。そのことを考えると、いざという時に海外でも使える携帯電話を、留学中の子どもに持たせるべきです。ちなみに我が家の娘が留学中の2年間、現地で購入したプリペイドカード式の携帯電話(当時、無料通話ができるスカイプの携帯対応はなかったと思います)を持たせていました。いざという時に、遠く離れてはいても、すぐ連絡がとれたのでほっとしたものです。
もし、留学期間が短期間であるのでしたら、日本での手持ちの携帯電話が海外対応機種で渡航先のエリアで使えれば、そのまま利用してもいいと思います。1999年~2005年頃まで、私が海外取材に出かけるときは、海外で使用する携帯電話を成田空港でレンタルして出国していました。基本的に日本で使っている自分の携帯電話はトランクに入れたままでした。ところが、最近では海外対応機種が増えてきたこと、そして携帯電話での海外通話料金が少し安くなったことや、携帯電話会社にもよりますが海外からのパケット通信料が国内同様の安い設定プランが登場したりしているので、手持ちの携帯電話を気軽に持って行けるようになったといえます。
レンタルだとしても、自分の携帯電話だとしても、注意しておきたいことがあります。最近の海外対応機種の場合、日本から渡航先へ到着したときに電源が入っていれば、自動でローミング設定をしてくれますが、なかには自分で設定しなければならない機種もありますので、出国前に必ず確認しておきましょう。また、自分の携帯電話の場合、渡航前に設定や契約が必要かどうかも確認しておきましょう。
自分の経験からですが、海外での電話のかけ方も確認しておくべきです。以前、フランス滞在中に、日本で購入した携帯電話を持っている友人に電話をかけてみたらつながらないという経験をして初めて知ったんですが、電話をかけるときに、たとえ同じ国に一緒にいる友人だとしても、相手が持っている携帯電話の登録国によって、番号の頭にその国番号が必要だということでした。友人の電話番号が「090‐×××~」だったのですが、国際電話をかけるのと同様に、日本の国番号「+81-90-×××~」とかけなければならなかったのです。同じ日本の携帯電話なのですが、海外での利用は国際電話扱いというわけです。
それから、もう1つ役立つのが、留学生保険や海外旅行保険です。日本のように救急車が無料とは限りません。病院での医療費用も健康保険があるわけではないので実費負担となるので、留学生保険、海外旅行保険には加入しておくことも忘れずに。保険会社によって呼び名は異なりますが、自然災害に対応する特約を付けておくと、地震や津波などの自然災害時のケガや家族が現地に行くための費用などが補償されるので、いざという時に頼りになります。
留学中のトラブル対応策(自然災害も考慮)
1.海外対応機種の携帯電話を持つ(ストラップにホイッスルをつけよう)。
2.学校の避難場所や避難経路、緊急連絡先など、現地の情報収集と情報を親子で共有する。
3.ホストファミリーの携帯番号や学生寮の連絡先も把握しておく。
4.留学生保険、海外旅行保険に加入しておく(自然災害補償の特約など、よく検討しましょう)。
5.パスポートの国内連絡先は確実に連絡がつく家族に。
6.普段から水のペットボトルと飴やチョコレートなどを携行する。
いつ、どこで、何が起こるのか不確定な世の中です。ニュージーランド・クライストチャーチで被災された留学生たちが発見・救助されることを心から願っています。
緒方 昌子