子どもマネー総合研究会

今の衆議院は憲法違反!

「1票の格差」とは、有権者が投票する1票に生じる価値の大きさの違いのことです。 具体的には、2009年夏の衆議院小選挙区の場合、最大2.52倍の格差がありました。 衆議院小選挙区で人口が最大だったのは千葉4区(約60万9000人)、 最小だったのは高知3区(約24万1000人)でした。 つまり、1人の議員を選ぶのに、千葉4区は高知3区の2.52倍の有権者数が 必要だったということ。高知3区を基準とすると、1票の格差が2倍を超えた選挙区は 97もあったそうです。

有権者が持つ1票に格差があるのは、住んでいる場所によって差別を受けていることになって憲法違反ではないかという意見があり、裁判で争われていました。 今年3月、その最終判断である最高裁の判決が示されました。 判決の内容は「2009年の衆議院選挙は違憲である」というものでした。

法治国家である日本の政治は、なんと憲法違反だったのです。 憲法に則った法律を作る国会の議員を選ぶ方法が憲法違反だというのですから、 何とも不可思議な話です。 法治国家が憲法違反をそのままにしておくわけにいきませんから、 早急に、対処しなければいけません。

今年10月に入ってから、ようやく、選挙制度そのものを見直さないと「1票の格差」を是正することはできないと、与野党が議論を開始しました。 ところが、利害がぶつかり、コレという案が出てきていません。

与党・民主党は「1票の格差」是正の関連法案を今国会に提出するとしていたのですが、 与野党協議の結論が出せず、今国会での提出は見送りました。

今後も、しばらくは憲法違反の政治が続くわけですが、遅くとも2013年までに行われる次の衆議院選挙は、憲法違反にならないようにしていただきたいものです。

この話題の顛末がどうなるのか、気をつけておきましょうね。

さて、子どもに関するお金の話題がないのは、この会の趣旨から外れるので、 子ども手当についても触れておきます。

子ども手当は8月末に成立した「子ども手当特別措置法案」に則り、10月から支給額が変わりました。その後の動きはほとんどなく、来年度の予算編成で、 国と地方の負担をどうするかの綱引きが始まっています。

このコラムを書いているとき、民自公の3党で子ども手当見直しの制度設計の 実務者協議が開かれたという新聞記事が目に入りました。少しは動き出したようです。

子どもに関する手当は、みなさんの家計に関係することなので、 どう変わっていくかウォッチしましょうね。

それに、これら以外にも、税と社会保障の一体改革や消費税増税、TPPなどなど、日本の将来に大きく関わる問題が次々と議論されてきているので、 政治の話題から目を離せませんよ。

小川 千尋

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