平成26年度の税制はどうなる?
税制改正大綱とは、翌年度の税制改正の前に、与党(自民党・公明党)や政府が発表する税制改正案のことです。例年、12月半ばから末にかけて発表されるのですが、昨年(平成24年)は総選挙があって政権が交代したため、少し遅れて今年(平成25年)1月末に発表されました。今年も変則で、10月1日に大綱の一部「民間投資活性化等のための税制改正大綱」が、残りが12月12日に発表されました。併せて、平成26年4月の消費税増税に備えた、平成25年度補正予算も発表されました。それらの中から、子育て世帯に関係ありそうなところをピックアップして紹介します。
低中所得者向けには軽減策が講じられるが高所得者は負担増に
平成26年4月から消費税が5%から8%にアップします。増税による負担が大きい低所得世帯(住民税非課税世帯)には、1人あたり1万円の「簡素な給付措置」が実施されます。このことは、前回の豊田研究員のコラムで触れています。
中所得者世帯(年収960万円未満)向けの軽減策をどうするか検討されていましたが、子育て支援を重視するとのことで、児童手当を上乗せすることになりました。児童手当は中学生以下の子どもがいる世帯を対象に、子ども1人あたり月1万円~1万5000円を支給しています。今回の上乗せ給付は、所得制限で減額されている世帯と、「簡易な給付措置」が実施される世帯は除かれます。給付額は子ども1人あたり1万円です。
この2つの軽減策は、給付の準備に時間がかかるため、もらえるのは平成26年6月以降になりそうです。また、平成26年度1回限りで、翌年以降も続く保証はありません。1万円で、どれだけの軽減効果が期待できるかは疑問ですが、ないよりはましということでしょう。
一方、すでに決まっている所得税の最高税率アップと、平成28年と29年に実施される給与所得控除の縮小で、高所得者は負担増になります。また、税制だけでなく、年収910万円以上の世帯は、平成26年度から高校授業料の無償化の対象から外れ、平成26年4月に高校へ入学するお子さんのいる世帯は、授業料負担が発生します。現在、在学中の高校生は、経過措置で卒業するまで無償化は続きます。
所得制限で捻出されたお金は、私立高校に通う低所得世帯に対する就学支援金の加算などに使われるそうです。
その他、子育て世帯に関係がありそうな税制のうち、住宅ローン控除の拡大と「すまい給付金」については、前回のコラムで触れていますので、ここでは割愛します。今や、生活必需品と言ってもいい車に関する税金は、増税されたり減税されたりします。安い税金で重宝されている軽自動車は、平成27年度に、新車に限って7200円から1万800円に値上げされます。
食料品などの生活必需品に適用される軽減税率は、導入時期が焦点になっていましたが、大綱には「消費税率10%時」と表現されることになりました。この表現は、「消費税率が10%になると同時に」と解釈する説と、「消費税率が10%になったあとのいつか」と解釈する説があり、どっちともとれるのだそうです。政治用語・お役所用語は、相変わらず、難解な言語ですね。
さて、今回の大綱は、企業の活性化を重視しています。この税制が功を奏して企業の得た利益を給料・ボーナスのアップで還元してくれれば、消費税増税による負担増を吸収できるでしょう。確かに、冬のボーナスアップ、平成26年4月からの給料アップという、家計とって嬉しいニュースが目や耳に入ってきますが、業種や会社によってバラつきがある模様です。ボーナス・給料アップが期待できなければ、家計収支の改善で対抗するしかありません。世帯収入アップを図りつつ、住宅ローンや保険料を中心とした支出の見直しで家計に力をつけておきましょうね。