子どもマネー総合研究会

届け! 100円の想い

娘が、学校からユニセフの募金袋を持ち帰ってきた。

その袋には、

  • 調べる:世界の子どもたちのようすを調べる。
  • 考える:どうして困っているのかを考える。
  • 行動する:わかったことをまわりの人に伝える。
  • 自分たちにできることを考えて行動する。
  • と、あった。

    そして、「100円でできること」として、

  • 1錠で4~5リットルの水をきれいにすることができる薬が、79錠買える。
  • げりで身体から水分がなくなって命を失うことを防ぐ粉(経口補水塩)が、14袋買える。
  • ポリオから子どもを守るためのワクチンが6回分、買える。
  • と、あった。

    娘には、当たり前のように飲んでいる水が、地域によっては汚れていること。その汚れた水を飲むことがいかに危険なのか、そんな地域に暮す子どもたちの命や生活が、いかに危ういかを話して聞かせた。

    そのためにも、袋にあなたは100円を、ママは500円を入れようと持ちかけた。

    すると、娘は、お財布のお金、全部を入れると言い出した。そしたら、もっともっと薬やワクチンが買えるよと。

    んー、うれしいけれど、難しい…。どう話したら、いいのかな…。

    「確かに、お金を全部入れたら、たくさんの薬やワクチンが買えるね。そしたら、たくさんの子どもが助かるかもしれない。でも、そしたら、あなたはどうやってノートやエンピツを買うの?ノートやエンピツは、お小遣いで買うことになっているでしょ。ママは、ユニセフの袋に全部入れてしまったからって、ママのお金でエンピツやノートを買ってあげることはできないけれど…」

    「ママは、ひどいなぁ…。たくさんの薬やワクチンを買えるのに…」

    「大切なのは、闇雲にお金をたくさん入れることじゃないの。まずは、自分の生活を考えて、それでも大丈夫だなと思った部分を入れてあげればいい。 大切なのは、世界には、困っているお友達がいるってことを忘れないこと。そして、自分にとって大丈夫なお金ができたら、袋に入れてあげること、それを続けていくこと。ムリして1回で終らせてしまうより、できる範囲をずっと続けていくほうが、きっとたくさんの薬やワクチンを買えていると思うよ」

    娘の顔が、少しゆがむ…。

    「これは、お金を出すけれど、お買い物じゃないんだよ。お金と一緒に、思いも届けるんだからね。たくさん出すことじゃなく、忘れないで、続けることをがんばろうよ」と、私。

    なんだか、私も、何をどう言ったらいいのか、わからなくなる。

    娘は、泣きそうになりながら、自分のお財布から100円を出す。そして、私は、自分のお財布から500円を出して、一緒に袋に入れた。

    袋には、「生きたい!学びたい!遊びたい!」と、あった。

    そして、「かなえよう 子どもたちの願い」と…。

    うちの娘を含めた、世界中の子どもたちが、ほんとうに健やかに、楽しく、やさしい気持ちをもって生きられることを、心から願う。

    娘の思いは、100円より重い。そう信じて、袋を学校に持たせた。

    ジョアン・安部

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