届け! 100円の想い
娘が、学校からユニセフの募金袋を持ち帰ってきた。
その袋には、
と、あった。
そして、「100円でできること」として、
と、あった。
娘には、当たり前のように飲んでいる水が、地域によっては汚れていること。その汚れた水を飲むことがいかに危険なのか、そんな地域に暮す子どもたちの命や生活が、いかに危ういかを話して聞かせた。
そのためにも、袋にあなたは100円を、ママは500円を入れようと持ちかけた。
すると、娘は、お財布のお金、全部を入れると言い出した。そしたら、もっともっと薬やワクチンが買えるよと。
んー、うれしいけれど、難しい…。どう話したら、いいのかな…。
「確かに、お金を全部入れたら、たくさんの薬やワクチンが買えるね。そしたら、たくさんの子どもが助かるかもしれない。でも、そしたら、あなたはどうやってノートやエンピツを買うの?ノートやエンピツは、お小遣いで買うことになっているでしょ。ママは、ユニセフの袋に全部入れてしまったからって、ママのお金でエンピツやノートを買ってあげることはできないけれど…」
「ママは、ひどいなぁ…。たくさんの薬やワクチンを買えるのに…」
「大切なのは、闇雲にお金をたくさん入れることじゃないの。まずは、自分の生活を考えて、それでも大丈夫だなと思った部分を入れてあげればいい。 大切なのは、世界には、困っているお友達がいるってことを忘れないこと。そして、自分にとって大丈夫なお金ができたら、袋に入れてあげること、それを続けていくこと。ムリして1回で終らせてしまうより、できる範囲をずっと続けていくほうが、きっとたくさんの薬やワクチンを買えていると思うよ」
娘の顔が、少しゆがむ…。
「これは、お金を出すけれど、お買い物じゃないんだよ。お金と一緒に、思いも届けるんだからね。たくさん出すことじゃなく、忘れないで、続けることをがんばろうよ」と、私。
なんだか、私も、何をどう言ったらいいのか、わからなくなる。
娘は、泣きそうになりながら、自分のお財布から100円を出す。そして、私は、自分のお財布から500円を出して、一緒に袋に入れた。
袋には、「生きたい!学びたい!遊びたい!」と、あった。
そして、「かなえよう 子どもたちの願い」と…。
うちの娘を含めた、世界中の子どもたちが、ほんとうに健やかに、楽しく、やさしい気持ちをもって生きられることを、心から願う。
娘の思いは、100円より重い。そう信じて、袋を学校に持たせた。
ジョアン・安部