子どもマネー総合研究会

すでに我が家も備えあり?「個人賠償責任保険」をチェックしよう

すでに我が家も備えあり?「個人賠償責任保険」をチェックしよう

自転車に乗っていて歩行者にぶつかりそうになったり、友達と遊んでいた子どもがケガをさせそうになったり・・・日常生活の中で、他人の身体やモノに傷つけるようなヒヤリとする経験は、多くの方がお持ちではないでしょうか。動き回ることの多い子育て中は、特にヒヤリとする場面が多いような気がします。

今回は、他人の身体やモノに与えた損害を賠償する場合に活躍する「個人賠償責任保険」について確認してみましょう。

損害賠償額は、数千万円以上になることも

他人の身体やモノに損害を与えた場合は、謝罪すると共に、弁償したり通院費を払ったりすることになりますね。与えた損害が大きくなく、支払可能な金額であればまだよいのですが、与えた損害が大きいと賠償金の支払いができない場合もあります。

表1は子どもや学生の起こした自転車事故の高額賠償事例ですが、事故原因にある夜間の無灯火、走行中の携帯電話いじりなどは身近に見かける危険行為。高額賠償事故は、日常生活の中で普通に起こりうることなのだと感じます。自転車の安全な乗り方を親も子も気をつけると同時に、万一の事故に対して保険などで備えておくことも必要でしょう。

なお、深刻な自転車事故がたびたび起きていることに鑑み、全国の多くの自治体で、自転車の安全な利用を促進する条例が制定されています。条例の内容は自治体によって異なりますが、自転車保険への加入を義務としている条例もあります。

自転車事故の高額賠償例

自転車事故も支払い対象となる「個人賠償責任保険」

こういった他人の身体やモノに損害を与えた場合のリスクをカバーするのが、「個人賠償責任保険」です。

個人賠償責任保険で保険金の支払い対象となるのは、表2のようなごく身近な事故。事故による被害者に対する損害賠償金(治療費、修理費、慰謝料など)や、弁護士費用、訴訟になった場合にかかる費用などが保険金の支払い対象となります。高額な賠償事故になることもある自転車による事故も補償対象となります。

個人賠償責任保険の対象となる事故例

個人賠償責任保険は、我が家の保険についているかも

この個人賠償責任保険は、単独で契約することもできますが、火災保険や傷害保険、自動車保険などの特約として契約する場合が多くなっています。また、被保険者は「生計を共にする同居の親族」なので、世帯主が契約者であれば、同居の配偶者や子どもが起こした事故も補償されます。同居していなくても、たとえば、大学進学のため別居している子のような「生計を共にしている別居の未婚の子」も補償対象となります。

ぜひ一度、契約中の自動車保険、火災保険、傷害保険等の損害保険や共済の契約をチェックしてみてください。損害保険だけでなく、共済商品にも個人賠償責任保険特約は付加されている場合があります。

なお、いわゆる「自転車保険」は、この個人賠償責任保険と自分自身のケガの治療費などを確保する「傷害保険」を組み合わせたものです。単独の自転車保険に加入しなくても、加入中の自動車保険や火災保険、傷害保険等の特約で自転車による事故への備えができている場合もあります。

自転車保険加入が義務化された自治体の方も、まずは既契約を確認されるとよいでしょう。2019年10月から自転車保険加入が義務化された静岡県では、表3のような自転車保険等の種類が紹介されています。

事故による損害を補償する自転車保険等の種類一覧

ただし、保険商品や契約内容によって、補償対象や保険金額は異なる場合があります。既契約保険に付加されている個人賠償責任保険の保険金の支払い対象となるのはどんな場合で、いくら補償されるのかなど、契約内容についても確認しておきましょう。

ファイナンシャル・プランナー 大林香世

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャルプランナー 、子育て・教育資金アドバイザー
1999年CFP資格取得。教育系出版社、FP会社勤務を経て、2000年より独立系ファイナンシャル・プランナーとして活動中。マネー系ホームページ、新聞等へのコラム執筆、FP向けテキスト・問題集の執筆・校閲、セミナー講師、個人相談などの活動を行っている。

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