子どもマネー総合研究会

今年で終わる「ジュニアNISA」、これからの生かし方は

今年で終わる「ジュニアNISA」、これからの生かし方は

2024年、NISAが変わる

2014年にいわゆる「一般NISA」から始まったNISA制度は、「ジュニアNISA」「つみたてNISA」と種類を増やしてきた、運用益が非課税になる制度です。ニュース等でご存じの方も多いかと思いますが、現行の制度は今年2023年末で終了。2024年からは新しいNISA制度が始まります。「一般NISA」「つみたてNISA」は名称や性質を変えて再スタートを切りますが、「ジュニアNISA」は2023年末で終了することが決まっています。

ジュニアNISA制度の終了は、利用者数が少なかったことが要因のひとつですが、終了間近となってから関心が高まっているようです。その理由は、終了が決定してから、ジュニアNISAの利用についての条件が変更されて、利便性が上がること。

ジュニアNISAについて制度をおさらいし、これからの利用について考えてみましょう。

ジュニアNISAは、子ども名義で非課税運用できる制度

NISA制度(少額投資非課税制度)の1つである「ジュニアNISA」は、NISA制度(少額投年間の非課税投資枠(80万円)の範囲内の資金から投資信託等に投資し、運用して得た利益(配当金・分配金、売却益)に対する税金がかからない、という制度です。通常は、投資信託等で運用した場合には、その利益に対して20.315%(復興特別所得税を含む)の税金がかかるのです。

ジュニアNISAは、成人向けの「一般NISA」「つみたてNISA」とは違い、加入できるのは日本に住む0歳~17歳の未成年者であることが大きな特徴です。

証券会社や銀行等で口座開設をして運用します。口座開設者は本人(子ども)ですが、2親等以内の親族(親・祖父母等)を運用管理者として登録する必要があります。運用管理者は、子どもを代理して、ジュニアNISA口座内で保有する投資信託等の管理・運用を行います。

一括(スポット)投資でも、積立投資でも利用でき、非課税期間は5年間ですが、ジュニアNISAには払い出し制限があり、銘柄売却後すぐにお金を引き出すことはできません。18歳未満で資金を引き出すと、課税されるのが現在のルール…ですが、このジュニアNISA終了を前に見直されています。

ジュニアNISAの概要

利用者 日本に住む未成年者(口座を開設する年の1月1日現在)
非課税対象 株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益
非課税投資枠 新規投資額で毎年80万円が上限
非課税期間 最長5年間
投資可能期間 2016年~2023年
運用管理者 口座開設者本人(未成年者)の二親等以内の親族(両親・祖父母等)
払い出し 18歳までは払い出し制限あり※

※3月31日時点で18歳である年の前年12月31日までの間は、原則として払出しができない。ただし、災害等やむを得ない場合には、非課税での払出しが可能。
2024年以降には、保有している株式・投資信託等および金銭の全額について、年齢にかかわらず、災害等やむを得ない事由によらない場合でも、非課税での払出しが可能。

参考:金融庁NISA特設サイト「ジュニアNISAの概要」

払い出し制限のルールが変わり、年齢に関わらず引き出し可能に

ジュニアNISAは、子どもの進学や就職に備える将来のための資産形成を目的として設けられた制度であることから、18歳までは払い出し制限があります。子どもの進路選択は成長に伴って変わっていきますが、たとえば、幼児期に大学進学に備えて始めたジュニアNISAの使い道を、私立中学への進学資金に変えたくても、現状ではできません。

しかし、ジュニアNISA制度終了に伴い、2024年1月以降は、いつでも自由に非課税で払い出しをすることができるようになりました。中学・高校進学時や、留学等でお金が必要になっても使える…ということで関心が高まっていると思われます。

ただし、払い出しは、「一部だけ」はできません。ジュニアNISA口座で保有している金融商品は一度にすべて払い出して、ジュニアNISA口座は閉鎖されます。

非課税期間が過ぎたら、18歳まで「非課税継続管理勘定」で保有可能

2023年の制度廃止により、ジュニアNISA口座の投資可能期間は、2023年で終了します。しかし、その時点ですべてを払い出し…にはもちろんなりません。

2023年の制度終了時点で18歳になっていない場合は、2024年以降の各年において非課税期間(5年間)が終了した金融商品を「継続管理勘定」に移管(ロールオーバー)し、18歳になるまで(1月1日時点で18歳である年の前年12月31日まで)、金融商品を非課税で保有し続けることができます。

ロールオーバー可能な金額に上限はなく、時価が80万円を超過している場合も、そのすべてを継続管理勘定に移すことができます。

なお、継続管理勘定では売却は可能ですが、新規の買付を行うことはできません。

ジュニアNISA、続ける?始める?

ジュニアNISAの廃止で2024年以降は子ども名義の口座での非課税で運用できる制度はなくなり、使い勝手もよくなることを考えると、ジュニアNISAの利用を検討したいところですが、利用するメリットは子どもの年齢によって違ってきます。

ジュニアNISAは5年間の非課税期間で運用し、2024年以降は18歳まで非課税の継続管理勘定で保有できます。したがって、口座名義人である子どもの年齢が低ければ、資金を払い出すタイミングを余裕を持って選ぶことができるので、利用のメリットは大きいでしょう。逆に、運用期間が長く取れないのであれば、ジュニアNISAを利用するメリットは少なくなります。

ただし、新規買付できるのは2023年12月末まで。その後は金融商品の変更などはできません。ジュニアNISAを利用されるなら、成長の期待できる銘柄選びを慎重に行いましょう。

変わるNISA制度。ジュニアNISAの今後の活用に加え、来年からの新NISAについても理解を深め、非課税制度を自分の、家族の資産形成に役立てていきましょう。

ファイナンシャル・プランナー 大林香世

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャルプランナー 、子育て・教育資金アドバイザー
1999年CFP資格取得。教育系出版社、FP会社勤務を経て、2000年より独立系ファイナンシャル・プランナーとして活動中。マネー系ホームページ、新聞等へのコラム執筆、FP向けテキスト・問題集の執筆・校閲、セミナー講師、個人相談などの活動を行っている。

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