子どもマネー総合研究会

高校生の個人留学の悩みどころ

在学中の高校生が正規留学する場合、通学する学校に国際コースなどの留学を踏まえたコースがある、または学校が主体になった留学ですと、1年生はその準備期間として英会話、英語でのさまざまな授業を行い、2年生で海外の学校へ1年間行き、その間海外校での取得単位をそのまま日本の学校でも反映して、帰国後3年生に進級して、国内の大学受験に臨むというカリキュラムを組んでいることが多いようです。つまり、通常の通学生と同じ3年間で高校を卒業できるわけです。

それでは、個人での正規留学の場合はどうでしょうか。

学校主体(提携校)ではないので、学校にもよりますが、多くの場合現地校での取得単位は日本の高校では適用されません。そのため、留学期間中を休学とし、籍を残しておくという方法を提案する学校も多いようです。現地の高校で学び、帰国後日本の学校へ再び戻り、休学前の学年に戻るという方法です。そしてもう一つ、在学している高校を退学して留学先の高校を卒業するという選択もあります。 日本の学校に籍を残しておくのか、現地の学校を卒業するのか……親としては悩むところです。

なぜかといえば、覚悟を決めての留学であっても、子どもが夢破れて卒業せずに途中で帰国しないとも限らないからです。そう考えると、帰国後に迎え入れてくれる学校を確保しておいた方がベター。とはいえ、在籍しておいて休学扱いにしておくとなると、学校に通わなくてもその期間中の学費を払うことになります。留学費用のほかにかかるわけですから、二重の出費となり、親の負担も大変です。 子どもを信じて「え~い」と、割り切って退学届を出すか、心配だから「仕方ない」と、二重の出費を覚悟するか……。

家計ももちろんですが、お子さんの性格をよく考えましょう。たとえば、退学届を出せば、後がないから何が何でも海外の学校を卒業しなければ……と、子どもはプレッシャーを感じます。

また、もしも途中で帰国することになって日本の在学校に戻ってきたとしたら、自分の下級生たちと同じ学年となるわけですから、自尊心が傷つく……ということも考えられます。

最近では、もしものリスクヘッジのために、費用はかかるものの通信制高校を併用することを選ぶ親もいるようです。

ここで1つ注意したいのは、卒業後の進路で日本の大学への進学を考えている場合です。留学校を卒業して卒業証明書を提出すれば、受験資格として認めて帰国子女枠で受験させてくれる大学も少なくありませんが、なかには日本の高等教育の3年間を履修終了していないと、受験資格がないとする大学もあります。例えば、日本の高校を退学して留学校を、飛び級して2年間で必要単位を取得して卒業した場合、卒業証明書があっても受験できないということもあるわけです。 在学校に籍を残すか、退学するか、それとも通信制高校を併用するか……卒業後の進路も踏まえて慎重な判断が必要です。

いずれにしても、親は子どもに必要以上のプレッシャーをかけないように要注意! ついうっかり「ちゃんと卒業してよね」とか「途中で帰りたいって言ったって費用は戻ってこないんだから」とか、「戻ってきたって、行く学校がないよ」なんて、子どもに発破をかけるつもりが、逆にモチベーションを下げてしまうことになりかねません。

その反対に「信じているからね!」と、あまり強く念押しするのも、気負い過ぎて失敗してしまうケースもあるようですから、言葉かけは慎重に。

留学を決意した子どもたちは、言葉の違う、慣れない海外生活の中で「しっかりしなきゃ」と、大人が思う以上に考えているものです。親子で決意しての留学なんですから、我が子を信用して送り出しましょう!

また、個人留学の場合、さまざまな留学手続きを自分でしなければなりません。語学に長けた家庭や現地に知人がいる、かつて住んでいたというような家庭なら心配ありませんが、まったく経験がない場合、頼りになるのは留学エージェントです。

留学エージェントは、学校選びから入学・編入手続きと出発までのスケジュール組み、ホームステイ先との折衝、ビザ取得や現地銀行の口座開設の手伝い、現地空港での送迎を含め、滞在中のサポートなどをしてくれます。高校生の正規留学を扱っている留学エージェントは多数あります。それぞれにサポートシステムやカリキュラム、料金体系に違いがあります。なかには、入学前の準備として語学研修、留学する国の慣習についてのレクチャーなどのほか、現地でサポートしている学生たちの交流会を開いて悩み相談をしてくれたり、卒業後の進路相談に乗ってくれたりするところもあります。留学中の我が子を託すわけですから、エージェント選びは慎重に、できるだけいろいろなところの資料を入手して、親子で実際に足を運んで詳しい話を聞いてから選びましょう。

親の悩みどころでもある在学校のことも、経験豊富なエージェントに相談してみるのも一つの手です。

緒方昌子

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